“普通”の人々の歴史が面白い! 著名人の家族を通してひもとく、日本の庶民史『ファミリーヒストリー』

日刊サイゾー / 2013年1月16日 13時0分

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「テレビはつまらない」という妄信を一刀両断! テレビウォッチャー・てれびのスキマが、今見るべき本当に面白いテレビ番組をご紹介。

 2009年から毎年年明けに放送されている『新春TV放談』(NHK総合)。千原ジュニアが司会を務め、NHK・民放問わず、その前年に放送されたテレビについてトークを繰り広げている。5回目である2013年は、秋元康、大根仁、小島慶子、鈴木おさむ、関根勤、テリー伊藤をパネラーに迎え、放送された。

 そこで大根仁が2012年のベスト番組に挙げたのが『ファミリーヒストリー』(NHK総合)だった。大根は「あんなシンプルな切り口で、テレビ見てこんなに泣くのか」と絶賛。ジュニアや小島も口々に「大好き」と賛同した。

 『ファミリーヒストリー』は、著名人の家族の歴史を本人に代わって徹底取材し、そのルーツを探るドキュメンタリー。プロデューサーで制作統括を務めるのは『プロジェクトX』や『プロフェッショナル 仕事の流儀』をデスクとして支えてきた小山好晴。2008年10月に『番組たまご』としてパイロット版が放送された以降、毎年新作が作られてきたが、ついに2012年10月からレギュラー化された。これまでルー大柴、浅野忠信、永瀬正敏、宮川大輔、余貴美子、市川猿之助、小塚崇彦、コロッケ、武蔵、そして出川哲朗など実に多種多様な人物の先祖をたどってきた。

 自分の家族の歴史なんて、知っているようで実は全然知らないものだ。たとえばルー大柴は、自分の祖母が「満州で時計屋を営んでいた」ということは知っていたが、それが「満州で一番大きな時計屋だった」ことはまったく知らなかった。しかも、第二次世界大戦の敗戦で、時計屋の金品がソ連軍に略奪され、ルーの父である稔は日本人捕虜としてシベリアに抑留されてしまっていたことさえ、これまで知る由もなかったのだ。戦後4年たってようやく日本に帰国した稔は、ルーの母と出会い結婚。しかし、日本の生活に馴染めなかったこともあって離婚。その後、ルーと会うことはなかった。

 ルーはそんな自分の知らない家族史に驚きつつも、冷静さをギリギリで保ちながらそのVTRに見入っていたが、ついに耐え切れなくなって嗚咽する。それは、父が糖尿病を患って入った療養所で、友人に「マイサンが今度テレビジョンに出るんだ」と得意げに話していたというエピソードが紹介された時だった。ヨーロッパで放浪の旅をし、今では「ルー語」と呼ばれる英語交じりの話し方をするルー大柴と同様、父もまた満洲やシベリアで英語を使っていたせいで、英語交じりの話し方をしていたという。それは些細だけど奇妙で心動かされるルーツのひとつだった。

 現在写真家としても活動する永瀬正敏の曽祖父が実は写真館を開業していたり、「お祭り男」宮川大輔の先祖が神田明神の防火用の天水桶を作った人物であったりと、本人がまったく知らない現在の自分と符合する事実が次々と明かされていく。宿命と呼ぶのは大袈裟かもしれない。けれど、ただの偶然と切って捨てることはできないルーツであり、それは家族と本人のアイデンティティにもつながっていく。「事実は小説よりも奇なり」という使い古された言葉がリアリティをもって迫ってくるのだ。

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