くまモン大ヒットの舞台裏『くまモンの秘密 地方公務員集団が起こしたサプライズ』

日刊サイゾー / 2013年5月7日 9時0分

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 くまモンが好きだ。

 あのぽっこりとしたルックスと、体型に似合わない俊敏さ、そして空気を読まない行動……。くまモンのサイン会取材で出会って以降、かわいさ、サービス精神、そしてやんちゃぶりにすっかりと虜になってしまった。100メートル走11秒台、エアギターやバンジージャンプにも果敢に挑戦……一時期は夜な夜なくまモン動画を見る日々が続いた。

 群雄割拠するゆるキャラ戦国時代を生き残り、もはやすっかり“体制派”となったくまモンを好きだと公言する行為は、“マスコミの裏をかく”というテーマを掲げる日刊サイゾー上において自殺行為に等しい。おそらく、読者は白い目でこの文章を眺めるのではないか……。まあ、いいか。

 先日「熊本県庁チームくまモン」によって上梓された『くまモンの秘密 地方公務員集団が起こしたサプライズ』(幻冬舎新書)を引きながら、くまモンの素晴らしさについて語りたい。

 2010年に初登場して以降、11年の「ゆるキャラグランプリ」を獲得し、関連商品の売り上げは1年間で293億円にも上る。キャラクターライセンスを持つ熊本県庁では、くまモンのキャラクター使用料を求めておらず、熊本県のPRにつながる商品であれば、審査通過後、誰でも無料でくまモンを使用することができる。結果、熊本から遠く離れた関東のスーパーやコンビニでもくまモンの商品が並べられており、熊本のPRに絶大な効果を発揮している。その手法はまさに「フリーミアム」。時代に即した高度なマーケティング力で、われわれの日常に浸透しているのだ。すごい、すごすぎる……。

 そう、ゆるキャラ界の頂点に立つくまモンは、実は“テッパン”のキャラなのだ。

 アカデミー賞を受賞した『おくりびと』の脚本家であり、『カノッサの屈辱』『料理の鉄人』(共にフジテレビ系)などを手掛けるヒットメーカー・小山薫堂がプロデュース。デザインはアディダスやNTTドコモなどのアートディレクションで知られるグッドデザインカンパニーの水野学。くまモンは生み出された当初からまったく「ゆるくない」血統を持ったサラブレッドであり、成功を約束された存在だった。本書での記述は薄いものの、くまモンの陰に広告代理店・博報堂の優秀な戦略的プロモーションがあることは間違いないだろう。

 しかし、だからといってネット上で喧伝されているような“ゴリ押し”の批判は早計だ。どんなに血統がよくてもまったく走らない馬がいるように、いくらゴリ押しされても消費者に受け入れられなかったり、瞬間風速のブームに散る商品は多い。くまモンは、ゆるキャラグランプリ優勝後2年を経ても一線級の活躍を見せている。

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