エクストリームな癒やし効果に中毒者続出? 現代日本ならではのファンタジー『のんのんびより』

日刊サイゾー / 2013年11月7日 16時0分

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 日常なんかクソくらえ! そんじょそこらのヌルい日常系アニメじゃ、俺のすさんだ心は癒やせねえんだよ!

 そんなハードな現代を生き抜く日常系アニメジャンキーの間で、現在放送中のアニメ『のんのんびより』(テレビ東京系ほか)の評価が上々だ。

 本作はエクストリーム日常系。いや脱力系。いやいや、環境系アニメとでもいうべきか。両親の都合で田舎に引っ越してきた小学5年生の一条蛍と、越谷姉妹、宮内姉妹らとの日常を描く、という本作。あらすじだけを見て「いつもの萌え系アニメね」と思ったそこのあなた! ちょっと待って。一度本作を見てほしい。すぐに『のんのんびより』が持つ謎の魅力に気づくことだろう。
 
 舞台となる田舎は「牛横断注意」の看板があったり、バスが2時間おきにしか来なかったり、買い物をするには自動車で1時間半ほどの距離にある市街地まで足を運ばないといけなかったりと、例えるならば井上陽水の「少年時代」がよく似合う田舎である。そこで小~中学生女子たちがなんてことのない日常を送るわけだが、本作の本質は彼女たちの日常ではなく、彼女たちが生活している風景なのだと筆者は訴えたい!

 蛍らヒロインは、確かにかわいい。特にれんちょんこと宮内れんげタンは、小岩井ことりによる味わい深い演技もあいまって非常に魅力的だ。にゃんぱす~。

 だが、彼女たちを魅力的たらしめているのはなんなのかと問われれば、それは彼女たちが生活する「ファンタジーとしての田舎」という舞台そのものなのだ。キャラクターが歩くあぜ道。夏休みにだけやってくる近所のおばあちゃんの孫。どこまでも続く田園風景。うっそうと茂る山林。ゆっくりと回る水車……。

 それらすべては、我々日本人なら誰もが「美しい」と思い、「懐かしい」と感じることのできる」いわば日本人の心の故郷であり、現代人からすると、もしかするとファンタジーRPGの世界以上にファンタジックな風景かもしれない。そんな桃源郷のような世界を楽しげに生きる主人公たちは、かつての我々であり、二度と手に入らない日々を思い起こさせてくれる装置なのだ。

 思い起こせば、本作は第1話の冒頭から数分間ひたすら田舎の風景を流し続けていたではないか。まるでNHK深夜の環境映像のような開幕ではあったが、そのシーンこそ「『のんのんびより』の主役は風景なのだ」という制作側からのメッセージだったのだ。

 確かに、田舎暮らしはいいことばかりではない。虫は多いし、生活する上で何かと不便も多い。ご近所様とのお付き合いも、都会からすると信じられないほどわずらわしく、いわゆるムラ社会的な閉鎖性もある。

 だが。それでも。だからこそ。『のんのんびより』は、我々が望んでやまない「理想の田舎」の風景を描き続ける。都市部で生活する人々には「憧れの田舎暮らし」を提示し、実際に田舎に住む人には「こうあってほしい田舎の風景」という日本ならではのファンタジーを描き続けるのだ。そう、『のんのんびより』は疲れた現代人の希望そのものといっても過言ではないのだ!

 さあ、ともに『のんのんびより』を見よう! そしてともに生きる活力を得ようではないか!

 にゃんぱす~!
(文=龍崎珠樹)

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