がさつな善意は鋭利な凶器に変わる――ついに本性を現した『ごちそうさん』の毒

日刊サイゾー / 2013年12月25日 16時0分

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「テレビはつまらない」という妄信を一刀両断! テレビウォッチャー・てれびのスキマが、今見るべき本当に面白いテレビ番組をご紹介。

 NHK朝ドラ『ごちそうさん』が、ついに本性を現し始めた。

 大きな話題となった『あまちゃん』の後ということで、苦戦が予想された『ごちそうさん』だが、フタを開けてみれば、『あまちゃん』を上回る好視聴率。その大きな要因のひとつが「わかりやすさ」だろう。「東京編」では、西洋料理店「開明軒」を営む卯野家を舞台にめ以子(杏)と西門悠太郎(東出昌大)の恋愛模様が軸に物語が進んでいく。恋愛に奥手でおっちょこちょいのヒロインと、女心に鈍感な青年の恋愛劇という、いい意味で“昔の少女漫画”風のドタバタラブコメディーだった。王道だ。

 め以子と悠太郎が結婚し、舞台が大阪に移ると、継母の静(宮崎美子)と姉の和枝(キムラ緑子)の仲がこじれ、その間に挟まれた妹の希子(高畑充希)が心を閉ざしている西門家で、め以子がその家族仲を改善させようと奮闘する物語に一変する。そこでめ以子を最も苦しめるのは、和枝の“いけず”(意地悪)の数々だ。祝言をあげるのを認めなかったり、め以子を女中扱いしたり、め以子が作った料理を食べなかったり、と枚挙にいとまがない嫁いびり。め以子は、和枝のいけずというわかりやすいヒール(悪玉)を相手に、持ち前の明るさや前向きさで立ち向かっていく、『小公女セーラ』のような『世界名作劇場』的なホームドラマに変貌したのだ。だが、これもど真ん中の王道だ。

 献身的な努力で、奔放な継母の静や妹の希子と次第に打ち解けていくめ以子。それでも、和枝との壁はまだまだ乗り越えられなかった。だが、転機がやってくる。和枝が資産を増やすために通っていた株場で出会った安西(古舘寛治)と恋に落ち、再婚を決意したのだ。もともと嫁ぎ先の姑から嫌悪され、一人息子の事故死を機に離縁し出戻った過去を持っていた和枝。ようやく訪れたロマンスに、和枝の意固地な心も徐々に氷解していく。だが、安西は、和枝が当てた株の配当金目当ての詐欺師だったのだ。まさに王道展開。傷心の和枝はガス自殺を企てるが、寸前で救出され「20年、ええことなんてひとつもないんや」と泣き崩れる。そんな和枝に、これまで自己主張をしなかった妹の希子が激昂する。

「お姉ちゃんがええことないんは、お姉ちゃんの心がいびつやからと思う。今までいろいろ不幸せやったと思う。けど、それを人にやり返していい理由にはならへんし、そんなんしてたら、どんどん周りの人離れていくよ。せやからいつまでたっても寂しいんや。寂しいからつけ込まれたんや! ホンマに20年間、ひとつもええことなかったん? 今日かて倉田さん血相変えて捜してくれたし、市役所の人らも、うちらやって、みんな、お姉ちゃんのこと心配して……そういうのはええことちゃうん? お姉ちゃんのええことには入れてもらえへんの? そうやって悪いことばっかり振り返って……そやからいびつやって言うんや!」

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