やくざ、裕次郎、安倍晋太郎、そして池田大作……なべおさみの昭和“裏”交遊録

日刊サイゾー / 2014年7月21日 16時0分

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 近年、反社会的勢力に対する世間の目は、かつてよりもはるかに厳しくなった。以前は、表社会と裏社会とのつながりは暗黙の了解とされていたものの、現在では、暴力団とのつながりが露見すると、たちまち大問題に発展してしまう。それは、暴力団と親密な関係を保ってきた芸能界でも変わらない。島田紳助が引退を決めた理由も、暴力団関係者との「黒い交際」だった。

 そんなご時世において出版された、俳優・なべおさみの半生を振り返った著書のタイトルが『やくざと芸能と』(イースト・プレス)だ。なべが、半世紀にわたる芸能活動で親交を深めた、芸能人ややくざ、そして政治家から宗教家などとの関係を赤裸々に語り尽くしている。

 高校生の頃には、すでにいっぱしの不良として銀座を仕切っていたなべ。住吉会系集団「銀座警察」のやくざや、「銀座の二郎」の異名を取った直井二郎、安藤組の大幹部・花形敬などと交流を持ち、極道への憧れを募らせていった。だが、彼が選んだのは「ヤクザ」ではなく「ヤクシャ」の道。安藤組が襲撃事件を起こした現場に駆けつけた際、放送作家・三木トリロー事務所の看板を見つけ、思わずそのドアを叩いたことから芸能界に足を踏み入れることになる。

 放送作家として、野坂昭如や永六輔らの薫陶を受け、コメディの素養を身につけていったなべ。しかし、彼の目標は裏方の放送作家ではなく、コメディアンだったため、レコード大賞を受賞した水原弘の付き人に転身。その日から、大スターたちの裏側を覗き見る生活が始まる。

 映画の撮影で京都に滞在した水原弘と勝新太郎。総理大臣の月給が25万円だった当時、祇園に繰り出した2人はなんと1カ月で120万円も酒に費やしてしまったのだ。もちろん、所属する渡辺プロダクションの社長・渡辺晋から叱責を食らうのはなべの仕事だ。また、若き日の石原裕次郎、美空ひばり、勝新太郎、水原弘の4人が一堂に会し、夕方6時から朝7時まで新橋で毎晩飲み明かすという、今では考えられない宴会が行われていた。この席にも、なべは付き人として毎晩同席していたのだ。

 だが、そんな華麗な舞台裏で、付き人としてコツコツと仕事をしていったことで、渡辺晋社長から信頼を勝ち取っていくなべ。そして、密偵として、森進一の独立阻止や加賀まりこの妊娠スキャンダルのもみ消しなどの暗躍をしていくのだ。

 芸能界の舞台裏を見続けてきたなべだが、日本テレビ『シャボン玉ホリデー』などの番組で役者として成功を収めた後も、相変わらずやくざとの交流を続けていた。なべに言わせれば、役者もやくざも元をたどれば被差別階級のアウトロー。美空ひばりの例を出すまでもなく、当時、芸能界と暴力団は蜜月の関係を結んでいたのだ。

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