絶賛→非難の嵐! 原作アニメ「使い捨て」問題を浮き彫りにした『極黒のブリュンヒルデ』

日刊サイゾー / 2014年7月25日 16時0分

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 アニメファンの間では、新しく始まったアニメはとりあえず3話まで視聴し、それから見るのを継続するか否かを決めるのが慣例となりつつある。なぜならば現在、単純に深夜アニメの放送数が多いため、好みじゃない作品は早めに切り捨てていかなければ、とてもじゃないが膨大な量のアニメ作品をカバーすることができないからだ。ちなみになぜ3話なのかというと、どのような作風でどんなストーリーなのかがおおよそ把握できるのがそのあたりだからである。

 視聴者はそのように視聴するアニメを絞っていけばよいのだが、その膨大なアニメ作品群を支えている制作サイドとしては、1クールごとに常に新しい作品を生み出していかなければならない。そうなると当然、一から企画を立ち上げるオリジナル作品よりも、すでに原作があるものをアニメ化していくほうが効率的で、コストがかからずに済む。なので、クールが変わるたびに漫画やライトノベルを原作としたアニメが次々と生み出されていくわけだ。もちろん、それ自体は別に悪いことではない。中には素晴らしいアニメ作品となって、原作を知らなかった多くの視聴者を魅了することもある。しかし、そのような旬な“原作乱獲”ばかり行っていると、時として良質な原作を予算や尺の都合で「使い捨て」のような形でアニメ化してしまうことも起こり得る。そこで今回は、そんなケースに陥ってしまった、前クールの『極黒のブリュンヒルデ』を振り返りたい。

 『極黒のブリュンヒルデ』は、「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載している岡本倫の漫画である。サイエンスファンタジー物としての面白さはもちろんのこと、緻密なストーリー展開や独特のブラックジョークなどで人気を博している作品だ。そして、岡本倫の別作品である『エルフェンリート』が以前アニメ化された際には海外などでも高く評価された下地があったため、今回の『極黒のブリュンヒルデ』のアニメ化も放送前から多くの期待が寄せられていたのだ。

 主人公の村上良太は、特殊能力は一切使えないが、頭脳明晰かつ驚異的な記憶力を持つ。それを生かして味方の“魔法使い”の女の子たちに指示を下し、敵の裏をかいてさまざまな局面を乗り越えていく。敵味方ともに“魔法使い”という超能力が使えるキャラクターたちが登場するが、彼女たちの激しいバトル物というよりは、どちらかというと頭脳戦的な側面の方が大きい。そのため、アニメ化に際しても、そのあたりの心理描写などは丁寧に描かなければ作品の面白さは伝わらない。制作陣も、そのことは十分理解していたのだろう。実際に映像化された『極黒のブリュンヒルデ』は、とてもゆったりとしたペースでスタートを切った。具体的には、原作コミック1巻の内容をアニメでは1~3話、コミック2巻の内容を4~6話に割くという丁寧さである。それにより、原作の持ち味を失うことない映像化に成功。また、女の子たちのキャラクターデザインのかわいらしさや、声優たちの演技の素晴らしさも相まって、アニメ3話が終わったあたりですでにネット上での評判はかなり高かった。それに加え、ヒロインの黒羽寧子が劇中で歌ったコミカルな鼻歌も話題を呼び、動画投稿サイトではそれを素材としたさまざまなMAD動画も制作されたりと、それこそ前クールのアニメ作品の中では上位の人気を誇った。もちろん原作ファンたちの間でも好意的な意見が多く、2ちゃんねるの関連スレッドなどでは、このままのペースで放送していけば、コミック4巻の奈波編(奈波という敵の“魔法使い”とのエピソード)で感動的な最終回を迎えるのではないかと予測されたりもしていた。しかし、その予想は大いに裏切られることとなる。

 なんと、こともあろうか制作陣がアニメ終盤の10~13話で、コミック5~10巻の内容を一気に詰め込むという暴挙に出たのだ。スカジという“魔法使い”と戦うエピソードは丸々アニメでは削られていたが、それでもたった4話でコミック6巻分の内容を詰め込むのには当然無理が生じ、作品の構成は大いに破綻。最終話に至っては、あらすじだけを駆け足で見せた極めて雑な作りになっていて、伏線もまったく回収されないままアニメは終了。さらに最終話放送当時は、コミック10巻はまだ発売されていなかったので、原作読者が原作を元にしたアニメで盛大にネタバレを食らうという前代未聞の事態も発生した。これには視聴者全員が唖然とするしかなく、前半の絶賛評価はあっさりと吹き飛び、ネット上では喧々諤々の非難の嵐が巻き起こったのだ。

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