ラップは賢くないとできない――『マツコ会議』でマツコが壊す先入観

日刊サイゾー / 2016年7月5日 15時0分

 番組でもラップの基本授業の光景から見せていたため、ラップをよく知らない番組視聴者でも、授業を受けるように、ラップの仕組みを理解でき、その何がすごいのかがとてもわかりやすい。これまでラップに接する機会があまりなかったというマツコも、感心しながら言う。

「ラッパーって、賢くなきゃできないね」

『BAZOOKA!!!』(BSスカパー!)の「高校生RAP選手権」や『フリースタイルダンジョン』をきっかけに今、ヒップホップが注目されている。雑誌では「サイゾー」、「ユリイカ」(青土社)、「クイック・ジャパン」(太田出版)、「TV Bros.」(東京ニュース通信社)などが相次いでフリースタイルを中心としたヒップホップの特集を組んだ。

 たとえば『クイック・ジャパン』(Vol.126)では、いとうせいこうがお笑い芸人との類似性を指摘している。

「お笑いで上に上がるためには、ネタが面白いにはこしたことがないけど、その場その場でなにを言えるかという能力が必要」

 それは、まさに「フリースタイル」だ。だから「芸人はそのことに焦って学ばなければいけないし、勝たなければいけない」と、いとうは言うのだ。

 確かに、90年代以降、文化系で表現欲のある若者の最大の受け皿はお笑いだったが、それがヒップホップに変わりつつあるイメージがある。事実、このスクールに集まる生徒の多くはごく普通の人たちだ。

 かつて「お笑いの学校なんて」と嘲笑されていたお笑い養成所が今では当たり前になったように、ラップの学校にもそんな日が来るのかもしれないし、ラッパーがテレビの世界を席巻する日も近いのかもしれない。

 実際、このところさまざまなバラエティ番組で、ラッパーを使った企画を見かけるようになった。とはいえ、まだまだラッパーをうまく生かせず、持て余しているように見える番組が多いが、この企画はそうした番組の中でもラップを知らない人にラップの楽しさを伝えるという点で珠玉の回だった。その大きな要因は、マツコの柔軟さにある。

『マツコ会議』が取り上げるスポットの多くは、若者の流行の最先端だ。そういった目新しいものに対し、僕らは先入観で警戒してしまいがちだ。マツコも一見偏屈に見えるが、その実、自分の先入観を破られることに抵抗があまりない。むしろ、それを楽しんでいるフシがある。そうした場面は『マツコ会議』の中でよく出てくる。もちろん、今回もそうだった。

 番組冒頭で、ラップは「反体制的な人たちがやっているイメージ」と語っていたマツコが、素直に「イメージが変わった」と言う。

「高尚なお遊びよね。ものすごく頭使うし、でもやってることは遊びなんだよ。そこがカッコいいと思った」

 マツコの柔軟さが、僕らの先入観をも壊してくれるのだ。

 なお、現在番組ホームページには、マツコが「なかなかの仕上がり」と評するACEを密着したVTRが公開されている。まさに「なかなかの仕上がり」だ。
(文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/)

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