活気戻った静岡県・熱海……“あの廃墟”の復興と「若人あきら失踪事件」の記憶

日刊サイゾー / 2018年9月6日 22時30分

 この夏、静岡県・熱海の温泉に4年ぶりに出かけて驚いた。熱海駅前には駅ビルが建ち、訪日外国人も含めて駅前は観光客でごった返し、活気に溢れていた。

 1960年代後半から70年代前半にかけては、年間500万人超もの宿泊客が訪れて、100万ドルの夜景を誇る日本有数の温泉街と言われた熱海。だがその後、企業の団体旅行減少とともに、宿泊客が減少していった。

 そんな熱海で、91年に“失踪事件”を起こしたのが、現在、俳優や声優として活躍中の我修院達也、当時の芸名は若人あきらだった。

 我修院といえば、今年4月に放送された長澤まさみ主演のフジテレビ月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』でドクター・デンジャラス役を演じたことも記憶に新しいが、若人あきらという芸名時代に、熱海の海岸で釣りをしている最中に突然行方不明となって、当時のワイドショーや女性週刊誌を賑わせたのだ。

 若人は、地方のキャバレー周りの芸人として下積みを重ねていたが、かくし芸として披露した郷ひろみの物まねが受けて、『オレたちひょうきん族』『笑っている場合ですよ』といったフジテレビの人気バラエティ番組をはじめ、NHKのバラエティ番組『ひるのプレゼント』にも出演して一躍ブレーク。物まねタレントして活躍し、年齢詐称までもが話題になるほどだった。筆者も、当時“芸能リポーターの元祖”と呼ばれた故・梨元勝さんとともに食事をするなど親交があっただけに、若人さんの失踪事件は他人事ではなかった。

 結局、若人さんは3日後に小田原市内で発見されたが、一時的な記憶喪失状態で、真相はわからず。その後、一部週刊誌が北朝鮮による拉致説を報じたが、若人さんは一笑に付したという。

 そんな若人さんが行方不明になった熱海の海岸も、今は活気を取り戻して観光客で賑わっている。2011年には全盛期の半分以下に落ち込んだ観光客も、数年前からJTBグループはじめ旅行会社と行政が官民協働で活性化を進め、さらに今年3月末には、長らく“巨大廃虚”と化していた「つるやホテル」跡地がリゾートホテルとして再生されることも明らかになった。

「つるやホテル」とは、熱海の海岸前にある観光名所「お宮の松」の前に建つ大型ホテルだが、宿泊客の減少で2001年に廃業。その後、大型商業ビルとして再開発されたものの、開発会社の破綻で完成間近の08年に計画が頓挫。以後10年間、バリケードに囲まれていた。しかし、廃墟となった跡地を中国系投資会社が買収。総工費約100億円を投じ、来年には「熱海パールスターホテル」としてオープン予定だ。全室スイートルームで熱海初の五つ星リゾートホテルを目指すという。

 熱海は東京から新幹線で1時間弱とアクセスも良い。2020年の東京五輪に向けて、活性化がさらに進むことは間違いなく、もはや、“若人あきら・失踪事件”も風化したようだ。
(文=本多圭)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング