ジャーナリストが“消される”のはサウジだけじゃない! 40代男性が中朝国境での“恐怖体験”を証言

日刊サイゾー / 2018年10月22日 14時0分

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 反体制的な記事を執筆していたサウジアラビアのジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏がトルコ国内のサウジ総領事館で殺害されたことが国際的な問題になっている。サウジと同様、政府に不都合な記事を書く記者を“消し去る”ことで有名なのが中国の公安だ。特に密貿易が盛んな北朝鮮との国境に目を光らせており、当地で拘束された経験のある日本人ジャーナリストが匿名を条件に恐怖体験を証言してくれた。

「習近平体制になって、国境付近はジャーナリストの墓場のような危険地帯と化した」とは、雑誌を中心に活動する40代の日本人男性ジャーナリスト・A氏。国連制裁により、北朝鮮への石油精製品や産業機械などの輸出が禁じられる中で、地続きの国境がある中国では密貿易が活発になっているという。

「密貿易を諸外国に察知されまいと、中国の公安は今年に入って監視を強化している。報道関係者だけでなく、民間人が北朝鮮側を撮影するのを禁じる看板をあちこちに立てている」(同)

 当局の厳しい規制に、現地ガイドや運転手がおびえて仕事を引き受けないため、事実上、国境取材はできない状態だ。

 A氏は数年前、国境の川越しに北朝鮮の農村を撮影後、中国側の町中を歩いている途中、突然、3人の男に取り囲まれた。

 声を掛けてきた男は、ポロシャツ姿でいかにも人が良さそうな表情……。何かの客引きだと思い「不要」とあしらったが、別の男が彼の腕をギュッとつかみ、ポケットから身分証を取り出した。そこには「公安」の文字……。そのまま拘束され、取調室へ押し込まれた。

 A氏は「観光客だ。なぜ捕まえるのか」と繰り返し抗議したが、取調官はノートに「去不了(このまま帰すわけにはいかない」とだけ書いて拘束を続ける。男性が「トイレに行かせてくれ」と頼むと、監視役が3人も付き、小便の行方をジッと見守っていた。

 その後、荷物をひっくり返され、1つ1つ念入りにチェック。デジタルカメラを慣れた手つきで操作し、画像も1枚1枚チェックする。

 片言の日本語通訳が呼ばれ、取調官による「なぜ北朝鮮の写真ばかり撮っている」「職業はなんだ?」「今日の行動を教えろ」といった尋問が、3時間以上も続いた。A氏は学生を装い、「朝鮮文化に興味がある」と主張。だが、取調官は「朝鮮文化に興味があるなら、なぜ近くにある有名な遺跡を見に行かないのか」と、ごもっともな反論をしてきた。

 運悪く、男性のカメラのメモリーには、自身の子どもの写真が残っていた。取調官は声を荒ららげながら「子どもまでいるんだったら、こんなところで写真撮ってないで、ちゃんとした人生を送ったらどうだ」と説教し始めたという。

 取調官はしきりに電話をかけ、上部組織らしきところからの指示を仰いだ。結果、A氏がジャーナリストだという裏付けが取れず、辛くも男性は釈放された。

 A氏は「いま捕まったら、確実に『無期刑』が言い渡されるか、失踪という形で消されるだろう」と、危険な中朝国境から足が遠のいて久しいという。

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