金脈は過払い請求から賠償請求へ……ミネルヴァ倒産で激震の弁護士業界が狙う沖縄という「宝島」

日刊サイゾー / 2020年7月13日 7時0分

「ご相談は東京ミネルヴァ法律事務所!」。このフレーズに耳覚えがある読者も多いだろう。一時期、テレビやラジオで頻繁に流れていたCMだ。

 消費者金融会社への過払い金の返還請求を手掛けていた同社が東京地裁に破産手続きの開始決定を受けたのが6月24日。負債は51億円余りで、弁護士法人では過去最大の倒産だったという。

「破産の原因のひとつには、依頼者に支払われるべき過払い金が、弁護士法人を実質的に支配していた広告会社に流れていたという不祥事があるようです。その額は少なくとも30億円に上るとみられ、場合によっては今後、刑事事件に発展する可能性さえあるようです」(全国紙社会部記者)

 その一方で、今回の倒産劇の背景として浮き彫りになったのが、「過払い金ビジネス」に群がる弁護士事務所や司法書士事務所の存在だ。彼らは、貸金業者への規制の波が押し寄せている中で下された2007年の最高裁判決の後に急増した。

「最高裁が07年1月に『利息制限法の制限を超える利息を支払った後でも、過払い金を返還請求できる』と判示しました。それまでは利息制限法の制限を超えての弁済が『みなし弁済』として認められていましたが、この判決が出たことで貸金業者には無条件で過払い金の返還義務が生じたのです。これによって弁護士や司法書士らの『顧客』になる債務者が急増 。一気に『過払い金ビジネス』が沸騰しました」(同)

 同様に、最高裁が下した判決によって法曹関係者にとっての〝ビジネスチャンス〟が生まれた例はほかにもある。そのひとつが1989年に5人のB型肝炎患者によって起こされた、いわゆる「B型肝炎訴訟 」をめぐる最高裁判決だ。この裁判は06年に最高裁で5人への国家賠償を認める形で決着したが、国は以降も5人以外のほかの患者への賠償は拒否し続けた。

 ところが、08年から同種訴訟が全国で一気に始まり、12年には「給付金」を支給するための特別措置法が作られ、国家賠償を求める患者が急増。と同時に国への賠償請求を担う法曹関係者も爆発的に増えた。

 こうした「賠償ビジネス」で荒稼ぎする弁護士・司法書士法人が、狙いやすい地域もある。

「沖縄です。平均所得が低く、多重債務者も多い土地柄で、さらに米軍基地が集中するという特殊事情もあります。米軍の最新鋭ヘリ『オスプレイ』や戦闘機が離発着する嘉手納飛行場や普天間飛行場の周辺自治体では、長年基地で発生する騒音が問題となってきました。周辺住民は法廷の場で爆音被害の解消を求め続けてきました。一連の裁判の最高裁判決では、米軍機の飛行差し止めについては認められなかったものの、国の賠償責任は認められたのです。基地周辺に住む住民の多くが対象になるため、『賠償ビジネス』を手掛ける弁護士たちにとっては、まさに『宝島』というわけです」(地元紙記者)

 実際、東京に拠点を構える複数の大手弁護士事務所が沖縄に事務所を続々とオープンさせており、すでに「顧客」の奪い合いも始まっているという。

 沖縄の根深い貧困問題や基地負担の問題が、ビジネスチャンスに様変わりしている格好だ。地元の法曹界は、この構図を「冷ややかに見ている」というが……。

 

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