テレビ界の「コア層重視」シフトは逆効果か? 若者向け番組増加で広告収入激減に懸念の声も

日刊サイゾー / 2020年9月3日 13時0分

写真

 ビデオリサーチ社は今年3月30日から視聴率調査を刷新、これまでの世帯ベースの視聴率だけでなく、個人ベースの視聴率を測定し、各年代別の視聴率がわかるようになった。

 これにともない、テレビ局は世帯視聴率よりも、個人視聴率を重視する方向性にシフト。さらには“13~49歳”あるいは“13~59歳”(註:局によって差あり)の視聴者を“コア層”と位置づけ、その年代における視聴率を高めることを最大のミッションとするようになってきた。

「ネットやスマホの普及で、若者がテレビを見なくなり、その結果、テレビの視聴者は高齢者ばかりになっている現状がある。そういった状況を打破したいというテレビ局の思いがあるわけです。また、若い視聴者やファミリー層に向けたCMを打ちたいというスポンサーも多く、そういった意向に沿った番組作りをする流れになっています」(テレビ局関係者)

 しかし、コア視聴率重視路線にはリスクも少なくないと言われている。

「現在、テレビの制作費はどんどん減っています。その一方で、Netflixやアマゾンプライムなどのネット動画配信サービスは潤沢な制作費で、かなり豪華な番組を作っている。それは、ドラマもバラエティも同様です。今後、テレビが若者向けコンテンツに力を入れたところで、ネットの配信サービスには勝てないのではないかという意見も少なくない。

 さらには、YouTubeを観て育った若い世代は、芸能人が何かをやっている番組よりも、親近感があるYouTuberの動画のほうが好きだという人も多い。テレビが芸能人を使って頑張れば頑張るほど、若い視聴者が離れていくのではないかという分析もあるんです。そのあたりのバランスを間違えると、逆にテレビ離れが加速する可能性もあります」(ネットメディア関係者)

 スポンサーの意向にあわせてコア視聴率重視にシフトしていると言われているが、それが“スポンサー離れ”に繋がる可能性も指摘されている。

「テレビ視聴者の年齢層が高いということは、高齢者に向けた広告を出せば、それなりに効果が見込めるということ。しかも、そこそこお金を持った高齢者も多いですから、テレビCMが購買行動につながる可能性も高い。つまり、より高齢者向けの番組作りをしたほうが、広告収入が上がりやすいという状況なんです。

 仮に、コア層向けの番組制作を進めても、広告効果という点では、ネットにかなわないかもしれないわけで、そうなったら結果的に“スポンサー離れ”が進むということも十分に考えられます。テレビが過剰にコア層向けになることは、実は負け戦なのではないかという声も多い」(同)

 コア層という弱点を強化することはテレビ局にとっても有意義だろうが、自らのストロングポイントを打ち消してしまっては意味がないのだ。

「もはやゴールデンタイムに、若者はあまりテレビを見ていません。そういった時間にコア層向けの番組を増やしたところで、結果は出にくいはず。YouTubeと連動する形にして、そちらでも広告収入を狙うとか、比較的若者にリーチしやすい深夜帯の番組を充実させるとか、もっと細やかな工夫が必要でしょう。このままでは、ただ単に世帯視聴率がコア視聴率に変わっただけで、終わってしまう。テレビ局側のマーケティングがちょっとお粗末な気がします」(同)

 なかなか時代の波を正確にキャッチできていないテレビ界には、抜本的改革が必要かもしれない。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング