映画『ムーラン』主人公はもともとモンゴル人! プロパガンダ利用のため中国が「漢族」に設定歪曲!?

日刊サイゾー / 2020年9月30日 8時0分

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 ディズニーの新作映画「ムーラン」が世界を騒がせている。主演の中国出身女優・劉亦菲(リウ・イーフェイ)が中国版ツイッター「微博(weibo)」で、デモ参加者らを取り締まる香港警察への支持を表明したことで、ネットでは鑑賞ボイコットが呼びかけられているが、新たな問題が浮上した。映画のエンドロールで、中国共産党新疆ウイグル自治委員会宣伝部やトルファン公安局などに感謝を示していたのだ。

 中国政府は近年、同自治区に暮らすウイグル人への弾圧を強めており、当地には強制収容するための再教育キャンプがある。「Newtalk新聞」(9月8日付)などによると、あろうことか、映画はこのキャンプ近くで撮影されたというのだ。

「中国政府による協力のもとで行われた同作品は、ウイグル人の人権を蹂躙している」との批判が世界各国で巻き起こるなか、中国・外務省報道官は「批判は嘘や偏見に満ちている」と主張。一方で、「主演のリウ・イーフェイは、現代のムーランである。彼女に『いいね』を送りたい。中華を代表する人物だ」と賛辞を送っている。

 しかし、そもそも『ムーラン』という物語自体、これまで繰り返し政治利用されてきた作品といっても過言ではない。

 映画『ムーラン』は、老病の父に代わって男装して従軍した娘の木蘭(ムーラン)が、中原侵略をもくろむ北方騎馬民族を相手に戦い、漢族を勝利に導くというストーリーだ。しかし「風傳媒」(9月10日付)によると、原作のさらに底本になっている「木蘭詩」に登場するムーランは、漢族ではなくモンゴル高原で台頭した遊牧民族・鮮卑拓跋部だという。つまり、主人公を漢族にするべく、設定を変更しているのだ。

 また、映画では、ムーランたちはフン族と闘うが、当時、フン族はすでに漢族社会に統合されており、中原に進攻することは考えにくいという。実は、歴史的な漢化政策によって、物語は徐々に中国色が強められていったのだ。つまり、漢族支配の中国では、この作品を通じ、漢族こそが中国の正統な統治者であることを示してきたというわけだ。そう考えると、当局が新疆をロケ地に指定したことにも意図がありそうだ。

 ディズニーがその史実を知っていて『ムーラン』を作品化したのかは不明だが、結果的に、中国のプロパガンダに加担した形になったのは間違いない。ディズニーはこの件に関して沈黙を守っているが、世界じゅうの子どもたちに夢を与える企業の責任として、経緯の説明が求められる。

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