「ただ待っていれば患者が来る時代じゃない」テレビに病院CMが増加した裏事情

日刊サイゾー / 2012年1月20日 8時0分

 年末年始に長野で見た、「病院」のテレビCMのあまりの多さに驚かされた。

 もともと病院に関するテレビCMで、よく見かけるものといえば、美容整形外科がある程度。東京では見かけないが、もしかして地方では多いのだろうか。

 だが、調べてみると、昔から病院CMが地方に多数あったわけではなく、近年増えてきた傾向にあるようだ。例えば、冒頭の長野でも県立病院、市民病院などが昨年末あたりからテレビCMを打つようになったらしく、「地方独立行政法人長野県立病院機構 平成23年度年度計画」の中で、「地域への情報発信」として「県立病院が身近に感じられるよう、テレビCM等各種媒体を活用した県立病院機構及び県立病院の広報を積極的に行う」といった内容が盛り込まれている。

 他の地方でも、テレビCMを始めた病院は徐々に増えているようだけど......。そもそもなぜテレビで病院CMはあまり流れていなかったのだろうか。これについて、ある医療ジャーナリストは説明する。

「もともと地方の病院や医院は、親の代から長く通っているなどの人が多く、地域密着型なので、高いお金を出して宣伝する必要がなかったんだと思います。でも、今は病院運営を取り巻く環境が厳しくなっていて、ただ待っていれば患者さんが来てくれる時代ではなくなっていますよね」

 地域密着型の病院経営にとってテレビCMは費用対効果がよくなかったということはありそうだが、ほかに、法的な問題もあったそう。

「もともと『医療法』で、原則として、医療機関、医業等に関する広告は禁止されており、事実や客観的な情報として個別に定められた事項についてのみ、広告できるとされていました。広告できる内容は、病院などの名称や医師の名前、診療科名や所在地、電話番号、入院設備の有無などで、制限がかなり厳しかったんですが、『改正医療法』以降、規制が緩和されたんですよ」

 改正医療法は、平成19年4月1日より施行されたもので、新しい病院等の広告規制について、こんな記述が厚生労働省HPにある。

「今般、社会保障審議会医療部会における意見等を踏まえ、(1)患者等が自分の病状等に合った適切な医療機関を選択することが可能となるように、(2)患者等に対して必要な情報が正確に提供され、その選択を支援する観点から、従来の医療法や告示のように1つ1つの事項を個別に列記するのでなく、一定の性質を持った項目群ごとにまとめて、『○○に関する事項』と規定するいわゆる『包括規定方式』を導入することにより、広告可能な内容を相当程度拡大することとしたものです」

 ちなみに、近年テレビCMを流し始めた病院には、県立、市立などから「地方行政法人」になったことで、予算執行が柔軟になり、テレビCMなどの広告を積極的に利用できるようになったということもあるよう。

 "若者のテレビ離れ"が叫ばれる中、企業にとっても、テレビCMの価値は絶対ではなく、「広告手段の1つ」になっている。今後、病院だけでなく、地方自治体など、さまざまなテレビCMが増える日も来るのかもしれない。


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