「バクチを打てる人間がいなくなった......」アニメの製作委員会方式はもう限界なのか

日刊サイゾー / 2012年10月20日 8時0分

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 10月スタートの秋アニメの初回放送が一通り終わり、ファンたちはさまざまな感想を述べている。

 現在、アニメ製作の多くを占めるのが製作委員会方式だ。テレビアニメだと、オープニングの最後に表示される「○○製作委員会」のクレジットは、誰もが見たことがあるだろう(近年は妙な名称を付けるものもあるが)。

 よく知られている通り、製作委員会方式はさまざまな企業がお金を出し合って作品を制作する方法だ。各企業は出資比率に応じてロイヤリティを得たり、各々が商品化権や海外販売権などで収益を得ることになる。

 日本における製作委員会方式は、特にリスクの分散を重視しているとされる。制作側は制作費用の負担で発生するリスクを避けられるし、流通部門の企業は、あらかじめ決まった制作費内のコストで安定したクオリティーのコンテンツを確保することができる。また、広告部門の企業があれば、認知度の確保も可能だ。つまり、マンガや小説を原作にして映像作品やゲームを展開する、あるいはその逆を行うメディアミックスが拡大していく中で、アニメはもとより実写作品でも、製作委員会方式はベストな方法として多用されてきたわけである。

 日本で製作委員会方式が導入されたのは、1980年代に独立系の映画会社が登場してからだとされる。80年代には、大手総合商社が原作を保有する出版社と手を組む方法がよく用いられ、90年代に入るとそこにテレビ放送局も参入するようになってきた。アニメでは、84年の『風の谷のナウシカ』を契機に、まず劇場用アニメから製作委員会方式が普及していった。90年代になるとテレビアニメでも製作委員会方式が用いられるようになる。製作委員会方式で成功したとされる作品には、オリジナルアニメから多方面に展開し成功した『新世紀エヴァンゲリオン』や、ライトノベル原作から展開した『スレイヤーズ』などが挙げられる。

 しかし現在、製作委員会方式は欠点のほうが目立つようになってきた。アニメのメディアミックス戦略では、放映に合わせて原作のライトノベルやマンガ単行本を販売して収益を得るのは基本中の基本だ。これに加えて、グッズやコラボ商品、それこそ抱き枕から、マウスパッドにタオルにポスターにと、思いつく限りの商品が展開されていく。

 ところが、例えば製作委員会に参加している企業が、あるグッズを考えついたとする。すると、「そのジャンルの商品化権は別の企業が......」なんてことが多々あるのだ。製作委員会に参加していない企業がグッズ展開を提案しようとすると、さらに大変だ。要は、権利がやたらと複雑化して、何がなんだかわからない混乱が当たり前に起きているのだ。もちろん、こうした混乱が収益を得る機会の損失を招くこともあり得る。メディアミックスが当然になり、展開の幅が広がったいま、権利関係をシンプルにするスキームが求められている。

 さらに、製作委員会の利点であったはずのリスク分散は、作品づくりの足かせともなりつつある。リスク分散は前述の通り、製作委員会方式が普及した大きな理由だ。ところが「リスクを最大限回避する」ために、冒険的な作品が生まれにくくなっている(このことは実写映画では、もっと如実に現れているはずだ)。製作委員会に参加する、どの企業も「どーんと出資して、どーんと稼ごう」なんてところはない。「ちょっとずつ出して、損をしないようにしよう」という思考なのだ。これでは、時代を変えるような新たな作品が生み出されるとは思えない。

「もうアニメは製作委員会方式はやめて、自社製作を中心に据えるほうがよいのではないでしょうか。例えば、劇場用アニメを製作するなら2億円もあれば多いほうです。あえて製作委員会方式を使うメリットが感じられません。かつて、バンダイは『王立宇宙軍 オネアミスの翼』(1987年)時に、ガイナックスに好きに作らせました。結果、赤字になってしまいましたが、ガイナックスは『トップをねらえ!』などを制作して完済しました。ある程度資本力のある企業であれば、作品が一つコケても、ほかがヒットすれば埋め合わせができるはずです」

と、ある製作会社のプロデューサーは話すが、はたしていまのアニメ業界にそんな大バクチをやろうと立ち上がる人材はいるだろうか? いま求められているのは、昭和の時代にいたような剛腕なプロデューサーと出資者だろう。それは、アニメから実写まで同じなのだが。
(取材・文=昼間たかし) 


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