野島伸司の少女への歪な憧憬と中年臭さが融合した、ジャニドラマ『49』の面白さ

サイゾーウーマン / 2013年10月30日 13時0分

写真

 『49』(フォーティーナイン)は、日本テレビ系の土曜深夜に放送されている学園ドラマだ。銀行員として働く加賀美幹(かがみ・かん)は、離婚届を会社に持ってきた息子の加賀美暖(だん、Sexy Zone・佐藤勝利)が車の事故に遭いそうなところをかばい、命を落としてしまう。しかし幹は、別宅で飼っている猫のランが気がかりだったため、息子に頼み、49日間だけ肉体を借してもらう。暖の体に乗り移った幹は、父親がわからない子どもを身ごもった娘の裕子(野村麻純)や引きこもりがちの暖の生活を知り、現世にいられる49日間を、家族のために過ごそうと奮闘する。

 『49』が放送されている深夜ドラマ枠は、『私立バカレア高校』以降、ジャニーズ事務所出身の若手アイドルが主人公の学園ドラマが放送されている。SMAP・稲垣吾郎主演の『診療中―in the Room―』のような例外はあるにせよ、近年では10代の若手俳優の登竜門として、瑞々しい作品を多く放送し、ドラマファン、アイドルファンから注目されている。とはいえ、深夜に放送されている以上、マイナー枠であることは間違いない。そのゆえ、野島伸司が脚本を書くと知った時には正直驚いた。

 野島伸司は1990年代に『101回目のプロポーズ』(フジテレビ系)のような純愛ドラマや、『高校教師』や『未成年』(ともにTBS系)のような文芸性の高い作品を次々と手がけ、多くのヒット作を生み出した人気脚本家だ。野島伸司の脚本の魅力は、ベタベタな物語を躊躇なく描ける構成力の高いシナリオと、時に歪とも言える独特のメッセージ性にある。しかし、『未成年』以降はセリフやナレーションで手前勝手なメッセージを垂れ流すようになってしまい物語性が失われ、テレビドラマとしてはバランスを崩して大衆性を失っていた。

 2000年代以降は、再び職人性の高い作品を作るように持ち直したが、歪なメッセージ性は相変わらずで、近年ではヒット作もなく、迷走していた。その意味で、深夜ドラマにたどり着いたのは驚く一方で、当然の帰結だったとも言える。

 しかし驚いたことに『49』は面白いのだ。

『女王の教室』(日本テレビ系)等でシャープな演出を見せていた大塚恭司を中心としたディレクター陣や、主演の佐藤勝利を筆頭とする若手俳優陣の奮闘はもちろんあるだろうが、それ以上に野島伸司が水を得た魚のように生き生きとしている。時々入るおっさん臭い人生訓や説教も、そもそも暖の中身がおっさんなので、ギャグとしてスルーできる。前作『理想の息子』(同)からその兆候はあったが、ジャニーズアイドル主演の学園ドラマという枠組みは野島伸司と実に相性がいいのだ。

  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
サイゾーウーマン

トピックスRSS

ランキング