世界中の情報が北京に漏洩?中国で始まる”インターネット安全法”の怖さ

デイリーニュースオンライン / 2016年12月5日 11時35分

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 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。

 2016年11月7日、中国の全国人民代表常務委員会は2017年夏季から「インターネット安全法」を制定することを決定しました。この法律は「サイバー攻撃やネット犯罪などを厳しく監視し、国家や国民、企業の損害を防ぐこと」を名目にしていますが、実際は「社会主義の核心的価値観の宣伝を推進する」という内容が盛り込まれ、国内の言論統制を視野に入れたものです。

■人々を統制するために制定されたインターネット安全法

 中国国内の外資系企業家たちは、インターネット安全法が自社の営業に支障をきたすことを懸念して、16年8月ごろから中共政府に法律が経済的影響を与えることがないよう要望していたのですが、安全法を見ると外資系企業のホームページの運営は、すべて中国側が運営するサーバーへの移行が義務付けられ、政府側の審査を通らなかったホームページは全面的に閉鎖されるという内容が記載されています。

 つまり、今後中国の外資系企業のネットワーク情報は全て中共政府側の管轄下に置かれるというわけです。これは中国国内の情報が外国に漏洩することを防止すると同時に、外国企業の情報は中国側に盗まれ放題という事態を意味します。

 またインターネット安全法の付属要項内には、外資系企業に対し中国人顧客の個人情報は全て中国のサーバーに保管することを義務付ける一方、外国人顧客の情報の保管は義務付けないと記載されています。これはおそらく自国民を監視、統制することを目的としたものだと思います。「外国人には適用されない」という言葉を聞いて安心された方もいるかもしれませんが、中国の情報統制は着実に世界中に広がりつつあります。

 実はインターネット安全法制定以前にも、中国では政府主導による情報監視が行われた過去があります。iPhoneなどで知られるApple社は、中共政府側の要望に屈し、一般的にはアメリカのサーバー内で保存されている同社製品のユーザーの情報を、中国人ユーザーに限っては中国側のサーバーに管理させる、いわゆる「バックドア」を容認しています。

 中国政府が各海外企業に提示した22ページにわたる書類を読むと、ソースコードの公開、会計検査の提示、ハードウェアとソフトウェアに対するバックドアの作成などが中国政府のコントロール下に入ることが要求されており、複数のアメリカ企業がApple社と同様の行為を行っています。これらの企業は総じて中国を大きな販売市場としており、「お得意様」には逆らえない状態です。

 仮に中国人の持つ電子データの中に日本人の情報が存在するならば、それが中国側に筒抜けになってしまう可能性があります。大げさな表現をすれば、インターネット安全法制定後、電子データを持つ中国人全てが「盗聴器」となるかもしれません。

 現在、利益を得るために各国の企業が中国国内でビジネスを展開しています。しかし、17年夏季以降、中国人や中国企業と関連を持つことは顧客の個人情報を漏洩する自殺行為になりえます。僕は世界中の企業は中国依存体質から方向転換するべきだと思います。 

著者プロフィール


漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の33歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。新刊書籍『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)が発売中。

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