「金正恩のウソは誰もが見抜いている」北朝鮮の貿易関係者インタビュー

デイリーNKジャパン / 2018年1月14日 11時25分

金正恩氏

2017年に国連安全保障理事会が採択した対北朝鮮制裁決議は5本。これは、内戦中にある南スーダンへの制裁決議と並び、また、朝鮮戦争だった1950年に北朝鮮に出された制裁決議4本を上回る。

制裁決議で課せられた義務を履行するため、世界各国は北朝鮮への禁輸、外交や通商関係の断絶・縮小、北朝鮮労働者の追放など様々な措置を取った。中でも、北朝鮮が貿易の9割を依存している中国は、ほぼ全面禁輸に近いほどの措置を取っている。

制裁が北朝鮮に与える影響について様々な見方がある中で、デイリーNKは中国の吉林省で貿易業に従事している北朝鮮人男性、ハン・ミョンフン(仮名)さんとのインタビューを行った。

ハンさんは、制裁品目が次々と増え商売上がったりの状態なのに、北朝鮮当局から「忠誠の資金(上納金)」を送るよう催促され、「お先真っ暗」だと嘆いた。インタビュー内容は次のとおりだ。

ー昨年12月23日に新たな対北朝鮮制裁決議2397号が採択されたが、貿易関係者の反応は?

「正直言って死にそうだ。昨年から制裁品目も増えて、中国の検査も厳しくなり、祖国(北朝鮮)に輸出できるものが激減した。そこにさらなる制裁が通ったので、お先真っ暗だ」

ー北朝鮮国内の雰囲気は?

「向こう(北朝鮮)にいる親しい同僚は『金正恩氏は嘘ばかりつく。庶民は飢えているのに、豊作だと言ってばかりいるが、そんな言葉を誰が信じるのか?』と言っていた。(体制批判は危険なのに)友人に向かって首領(金正恩氏)批判をするなんて、いかにもどかしい思いをしているかということだ」

ー北朝鮮当局が出した制裁関連の指示は?

「(中国遼寧省の)丹東で働いていた北朝鮮労働者の多くが帰国した。こちら(吉林省)も状況が似ているが、問題は当局への上納金が足りないことだ。労働者が減ったので当然なのに、お上はどんな手を使ってでも全額上納せよと強いる。工場の指導員やレストランの支配人はカネ集めに東奔西走している」

ー他の指示は?

「昨年末、上から(平壌市内のタワーマンション団地の)黎明(リョミョン)通りの建設費として4000元を上納するように言われた。少ない額ではなく、ビジネスもものすごく厳しい状況なので集めるのが大変だった。黎明通りの建設は終わったはずなのに、何が足りなくてカネを出せと言うのだろう。もう逃げ出したい」

ー農産物も凶作だそうだが?

「咸鏡北道(ハムギョンブクト)の慶源(キョンウォン)郡は、今年に入ってから中国人を招いたそうだ。投資の誘致が目的のようだが、郡の朝鮮労働党(の幹部)が直々に出迎えたらしい。相当カネに困っているようだ。中国朝鮮族の貿易業者の話では、中国国内で農機具を確保して慶源郡に贈り、その様子を証拠として撮影したらしい」

ー国内の世論は?

「国内のテレビは金正恩氏が衣類や靴、食品の工場を訪れた際の映像を流しているが、彼のまわりには品物が山積みになっている。あんなにあるのに、北朝鮮国内ではなぜ出回らないのか。金正恩氏が嘘つきだということは、北朝鮮の人間なら誰でも知っている」

デイリーNKジャパン__北朝鮮_その深部とポテンシャルを探る

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