「さらわれて生き埋めか」一家蒸発が続き恐怖に震える北朝鮮国境都市
デイリーNKジャパン / 2020年12月26日 6時33分
中国と接する北朝鮮の都市、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の会寧(フェリョン)が恐怖に包まれている。先月に入ってから、忽然と姿を消す人が増え、市内ではデマか真実かわからない噂が飛び交っている。
現地のデイリーNK内部情報筋によると、市内のある住民が今月中旬のある日、忽然と姿を消した。何らかの病気を患っていたのだが、本人のみならず、家族もろともいなくなってしまい、今に至るまで帰ってきていない。
他にも2家族が、同じように突如として行方をくらました。姿を消した3家族が、新型コロナウイルスに感染したのか否かは不明だが、患者本人のみならず、家族もろとも連れ去る様子を見た市民の間からは、コロナ感染による隔離を疑う声が上がっている。
(参考記事:3割が生きて出られない…北朝鮮コロナ隔離施設の劣悪な実態)
市内では、「一家全滅したのでは?」という噂から、「連行して死ぬのを待って、死んだら遺体を埋める」という噂に転じ、それが今度は「生き埋めにする」などと言った噂となり、市民は恐怖に震えている。
そうこうしているうちに、忽然と姿を消す家族さらに増え、噂に真実味が増してしまっている。
この事態に人々が恐怖を覚えるのは、新型コロナウイルスそのものに対する恐怖に加え、収容所送りを連想させるからだろう。
(参考記事:若い女性を「ニオイ拷問」で死なせる北朝鮮刑務所の実態)
家族の誰かが政治的に大きな間違いを犯せば、本人のみならず、家族までが管理所(政治犯収容所)送りになることがある。連行は夜中に行われ、家族は家財道具を残したまま、忽然と姿を消す。
(参考記事:男たちは真夜中に一家を襲った…北朝鮮の「収容所送り」はこうして行われる)
今のところ、消えた家族がどこへ行ったのかは不明なままだ。
一方、市内が不穏な空気に包まれていた今月17日、今度は別の家族が姿を消した。
人民班(町内会)の班長は、町内に住む夫婦の家に税金の徴収で訪れたが、家の中から全く人気がせず、その次の日になっても帰ってくる気配がなかったことから、地域担当の保衛員(秘密警察)に連絡、家に踏み込んだところ、もぬけの殻だったという。
夫婦は、姿を消す数日前に親戚に「伝染病(コロナ)が怖い、家族もろとも消されるかもしれないから恐ろしい」と話してたと伝えられている。保衛部(秘密警察)は、夫婦が国境を越えて脱北したものと見て追跡に乗り出したが、目の前を流れる川の向こう岸は中国というロケーションで、発覚して時間が経ったことを考えると、逮捕は難しいようだ。
脱北や密輸を防ぐために、国境をガチガチに固めていたのに、それをあざ笑うかのように夫婦に脱北された保衛部は、茫然自失の様子だという。
災害や騒ぎで警備が手薄になった隙を見計らって、脱北を敢行する人は以前から存在したが、状況を考えると、今回の脱北は計画的なものではなく、突発的なものだろう。
(参考記事:死者になりすまして脱北?…北朝鮮の水害被災者)
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