「気絶、失禁する人が続出」金正恩、軍人虐殺の生々しい場面
デイリーNKジャパン / 2020年12月30日 6時33分
国連安全保障理事会は11日、北朝鮮の人権状況について非公開会合で討議。参加国に日本を加えた8カ国で声明を発表し、新型コロナウイルスと関連して北朝鮮で処刑が増加していることに憂慮を表明した。
この声明を受け、金正恩党委員長が怒り心頭に発したであろうことは想像に難くない。何しろ金正恩氏は10月10日の朝鮮労働党創建75周年を記念して行われた閲兵式(軍事パレード)での演説で、涙さえ見せながら、自国の防疫体制の完璧さを誇ったのだから。
しかし今のところ、北朝鮮はこの声明に何の反応も見せていない。このところ北朝鮮は、人権侵害に対する国際社会からの非難に取り合わないようになってきている。今回も「スルー」を決め込んだのだろうか。その可能性はある。だがもしかしたら、自慢の防疫体制を人権侵害と結びつけられたことに当惑したのではないだろうか。
北朝鮮で行われた新型コロナ関連の処刑とは、どのようなものか。例えば、韓国紙・東亜日報の記者で脱北者でもあるチュ・ソンハ氏は、自身のブログで次のような事例を伝えている。
今年8月、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の穏城(オンソン)郡で、複数の軍関係者が処刑される事件が起きた。この地域では少し前、国境の川を渡って中国へ脱北した地域住民が、再び故郷に戻り逮捕されていた。金正恩氏は、新型コロナの流入を防ぐために国境を徹底的に封鎖するよう厳命しているが、それが出来ていないことが発覚してしまったのだ。
報告を受けた金正恩氏は激怒。防疫ルールを遵守しない現象については、容赦なく銃殺、無期懲役で処罰しろと命じたという。
その結果、件の脱北者が越境した地点を受け持っていた国境警備隊の中隊長、政治指導員、責任保衛指導員、軍保衛部封鎖部長、軍機動巡察隊長、そして脱北者本人が所属する職場の党委員長と支配人が処刑され、家族は追放されたという。さらに、チュ氏は処刑の場面を次のように生々しく描写している。
「そして彼らの処刑場面を、当該地域の幹部たちに参観させた。どれほど残忍に処刑されたのか、参観者の中からは気絶する人、失禁する人が続出した。北朝鮮でよく行われる、数百発の銃弾を浴びせ、人間の原型すらとどめないやり方だったのだろう」
(参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇)
読めばわかる通り、処刑された軍人や党官僚は、故意に防疫ルールを破ったわけではない。どれほど警戒しても、広い国境地帯を完璧な監視下に置くのは不可能に近い。そんなことの責任を問われて処刑されたのでは、命がいくつあっても足りないだろう。
金正恩式の防疫体制の問題点は、それが国民の命を守るためというよりは、体制の安定を守ることを優先しているように見えることだ。各国とも、都市封鎖(ロックダウン)を含め厳しい防疫体制を取ってはいるが、それはひとりでも多くの国民を救うためだ。不可抗力とも言うべき落ち度を理由に処刑してしまう北朝鮮の防疫体制は、似て非なるものと言わざるを得ない。
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