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金正恩のICBM基地が「壊滅的被害」…地下トンネル水没、復旧も見通せず

デイリーNKジャパン / 2024年12月12日 4時39分

金正恩氏が平安北道の水害現場を視察した(2024年7月29日付労働新聞)

北朝鮮北部・慈江道(チャガンド)の奥深く、和坪(ファピョン)郡の檜中里(フェジュンリ)にある朝鮮人民軍(北朝鮮軍)戦略軍傘下の大陸間弾道ミサイル(ICBM)運用旅団は、北朝鮮の核戦略の中心となる軍事施設のひとつと言われている。

そこが、今年夏の記録的な大雨で大きな被害を受けたと、デイリーNKの軍内部情報筋が伝えた。

(参考記事:「死者1100人以上」北朝鮮の救難ヘリが相次ぎ墜落、全員死亡も

情報筋によると、施設は7月末の大雨で氾濫を起こした鴨緑江からは遠く離れており、標高の高いところにあるので、洪水の心配はほとんどなかったと言われていた。

しかし、基地の場所を地図で確認すると、鴨緑江の支流の慈城江(チャソンガン)のさらに支流で、朝鮮半島北部を南北に貫く狼林(ランリム)山脈の舎廊峰(標高1787メートル)から端を発する川が流れる谷筋沿いにある。

大雨が降れば、上流から鉄砲水、山津波が押し寄せることは、火を見るよりも明らかだが、情報筋は「想定外だった」と述べたことから、気象災害や地形に関する知識を欠いていることがわかる。

押し寄せた大量の水と土砂は、地下のミサイル保管坑道、有事の際に兵士たちが起居する人員坑道に入り込むなど、施設全体に致命的なダメージを与えた。当時の状況を、情報筋は次のように語った。

「坑道の入口で初期非常措置を取ったが、山から流れてくる急流が四方から(坑道に)侵入し、手をこまねいているうちに地下トンネルと一部の装備があっという間に水に浸かり損傷した」
「一方から流れてくる川の水は防波堤で防ぐことができるだろうが、四方から水が押し寄せてくるとは予想だにしなかった」

(参考記事:【目撃談】北朝鮮ミサイル工場「1000人死亡」爆発事故の阿鼻叫喚

水害から4カ月経ったが、未だに基地の復旧工事は終わっていない。基地から北に数百メートルのところには鉄道の北部内陸線が通っているが、慈城江沿いにあるため、大きな被害を受けた。また、道路も被害を受け、資材の運搬が円滑に行われていないようで、未だに坑道は使えない状態だという。

そんな状態で、工事の困難さが増す冬が到来した。

「ミサイル保管坑道と人員坑道の復旧には特殊資材と専門技術を必要とするが、(それらの不足に加え)時期的な寒さも加わり、完全復旧までにはさらに時間がかかると見ている」(情報筋)

朝鮮労働党の軍政治指導部や戦略軍の責任幹部は10月、現地を訪れて、基地の指揮官らと会議を開いた。彼らは、ミサイル基地で被害が出たことについて、「災害対応、危機管理の失敗により膨大な軍事的損失をこうむった」として、指揮命令系統、戦略資産の管理の問題を指摘したという。

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