韓国を捨てて欧米に向かう脱北者たち

デイリーNKジャパン / 2017年10月13日 0時0分

韓国で活躍していた脱北タレント、イム・ジヒョンさんが北朝鮮に戻った事件を受けて行われた調査で、韓国国内で所在が不明確だった脱北者900人のうち、746人(82.9%)が海外に出国していたことがわかった。韓国の世界日報が報じた。

韓国国会の外交統一委員を務めるイ・ソッキョン議員が、警察庁の資料を分析した結果、明らかになった。

また、北朝鮮に戻った人は12人、死亡した人は8人、登録した住所と違うところに住んでいた人が110人、連絡ができず所在把握ができなかった人は22人だった。出国した人の目的地はカナダが169人(22.7%)で最も多く、次いで米国113人(15.1%)、英国97人(13.0%)、中国81人(10.9%)の順だった。

これは、韓国社会に適応できず、欧米への移民を目指す脱北者が多いことを示す。

一方、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の報告書によると、難民認定を受けた脱北者は1422人、申請中の人が533人、合計で1955人に達する。脱北者団体によると、かつてはカナダに1000人、英国に600人、ドイツに300人の脱北者が住んでいた。

しかし、現在の状況は一変している。

多くの移民を受け入れていることで知られるカナダだが、最近では脱北者の難民申請をほとんど受け付けなくなった

。米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)は、カナダ移民難民局の資料を引用し、カナダで難民認定を受けた脱北者は2011年に115人、2012年には218人いたが、2013年には13人に急減し、2016年にはゼロとなったと報じた。

カナダ政府が難民審査を強化し、脱北者が韓国にいたことを隠して難民申請をしたことを問題視したためだ。英国も、2008年には279人の難民申請を受け入れたが、2014年第4四半期から今年の第1四半期まではゼロだった。

多くの脱北者が韓国を離れ、他の国に向かおうとする一番大きな理由は差別だ。

韓国の国家人権委員会、国民大統合委員会が別々に調査した結果、脱北者であるとの理由で差別を受けた経験を持つ人は、全体の45.4%、42.5%に達した。差別に関する調査で、回答者は自分の受けた差別体験を過小評価すると言われていることを考えると、実際はさらに多くの人が差別に苦しんでいると思われる。

また、韓国政府や社会が、脱北者を監視の対象として見ていることも、もう一つの理由だ。

世界日報のインタビューに応じたある脱北者は、韓国に来て20年になるというのに、未だに警察から所在確認の電話がかかってくる、トラウマになっている、一生脱北者であることから逃れられない、などと嘆いている。

警察関係者は、誠意を持って接しており四半期ごとに電話をかけるぐらいだが、一部に誤解があるようだと述べ、あくまでも監視対象と見ていることを否定した。一方で統一省の関係者は、脱北者が政府の管理を監視、監督として受け止めていることに留意し、至らないところは改善が必要だと述べている。

デイリーNKジャパン__北朝鮮_その深部とポテンシャルを探る

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