東芝崩壊を予見した男が語る「次にヤバイ企業」

デイリー新潮 / 2017年3月21日 14時0分

いよいよ上場廃止が現実味を帯びてきた

 米原発事業で7000億円に上る損失を計上する見込みの東芝は、決算の発表を再び延期すると発表した。東京証券取引所は東芝株を「監理銘柄」に指定し、いよいよ上場廃止が現実味を帯びてきた。15年前には誰も想像できなかった、日本を代表する名門企業の崩壊を、予見していた作家がいる。

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『震える牛』『ガラパゴス』など社会問題に鋭く切り込む作風で人気を博す相場英雄氏は、かつて時事通信社で経済記者として活躍していた。相場氏の最新刊『不発弾』のテーマは、「粉飾決算」。架空の巨大電機企業・三田電機に発覚した「不適切会計」の謝罪会見から物語は始まるが、財界総理を多数輩出した名門企業には「米原発事業での減損」「半導体部門の切り売り」の運命が待ち受ける。

東芝の崩壊を予見した相場英雄氏

『不発弾』の連載開始は2年前。なぜ相場氏は巨大電機企業の凋落を予見できたのだろうか。

■経済事件の「デスノート」

「この作品は、僕の新聞記者としてのケジメです」と相場氏は語る。「兜町担当の記者だった20年ほど前、日本企業が本業とは関係のない海外企業を異常な高値で購入するケースが目立った時期がありました。その背景として、バブル崩壊で生じた負債を、のれん代(買収された企業の時価評価額と買収価額との差額)に紛れ込ませて粉飾するという手法があることを教えてくれた情報提供者がいた。それが今回の着想のきっかけです。東芝の会見にあった『不適切会計』という言葉に違和感を感じて、その裏にある事情を自分なりに推測して小説にしたのですが、ここまで当たってしまうとは……」

激動の証券業界を生き延びた男が語る、闇に葬られた「粉飾決済」の裏側とは。『不発弾』相場英雄・著

 相場氏の小説が現実を予見したのは、今回が最初ではない。

BSE問題と加工肉をテーマにした『震える牛』(2012年)を発表した直後には、大手ホテルチェーンによる食材偽装問題が発覚し、エコカーの安全性を問う『ガラパゴス』(2016年)発表後には、三菱自動車による燃費データ不正問題がニュースとなった。

言わば、書いた内容が実際に社会問題化する「デスノート」状態であるが、相場氏は、「今回の東芝問題は、まだまだ序章に過ぎない」と言う。


■日本経済に潜む“第二の東芝”

「僕に数々の“粉飾テクニック”を教えてくれたのは、会社によって粉飾をさせられている側の人――つまり、内部告発者でした。なぜリスクを冒してまで情報提供してくれたのかを聞くと、『こんなことを続けていれば、日本が駄目になってしまうから』と。それがもう20年前の話です。その情報提供者から託された資料が僕の手元には電話帳5冊分ぐらいあって、日本中の企業の名前が挙がっている」

 そうなると、東芝の次に爆発しそうな企業はどこか。

「もう企業レベルの問題ではありません。それこそ不発弾のように、東日本大震災やトランプ政権の発足など、予測のできない刺激ですぐに爆発する。日経新聞のスクープですが、金融庁が地方銀行に、外債の運用損に関する特別検査を実施することになりましたよね。あれはきっと、連鎖で爆発しますよ。それよりもヤバそうなのが日本橋本石町。緩和のし過ぎで、株式関連のポートフォリオ(資産構成)が急激に増えた。この国の中央銀行は、いつ爆発してもおかしくない危険な状況です」

 小説の衝撃的なラストまで、現実になりそうなのである。

デイリー新潮編集部

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