非難殺到・ももクロはヘビメタファンに受け入れられるか?

ダ・ヴィンチニュース / 2013年5月2日 12時20分

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『魔獣の鋼鉄黙示録――ヘビーメタル全史』(イアン・クライスト:著、中島由華:訳/早川書房)

 5月11・12日に幕張メッセで開催されるハードロック、ヘビーメタルの音楽フェス「Ozzfest」に参加することになったももいろクローバーZ。この参戦には、ヘビメタファンたちからはブーイングが殺到。「メタルフェスにアイドル!?」「メタルファンを馬鹿にしてる」などとバッシングも起こっている。なにせ「Ozzfest」の創始者は、ヘビメタの祖である「ブラック・サバス」のオジー・オズボーン。ヘビメタファンにとっては、待ちに待った日本開催でヘビメタ外のアイドルが参加することに違和感があるのは当然ともいえる。

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 しかし、ジャンルは違えど、同じ音楽を愛する者同士が会場でいらぬ衝突を繰り広げるのは悲しすぎる事態。ももクロ目当てでフェスに行くファンたちには、ぜひ、“ヘビメタ知識”を身につけてもらいたいところ。

 そこでうってつけの1冊が、『魔獣の鋼鉄黙示録――ヘビーメタル全史』(イアン・クライスト:著、中島由華:訳/早川書房)だ。これは、ブラック・サバスの誕生から、ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘビーメタル(NWOBHM)の勃興、パワーメタルやブラックメタル、スラッシュメタルの登場、デスメタルの台頭など、1970年代から2000年代にいたるまでの“ヘビーメタルの大河の如き歴史”が綴られた本だ。600ページに及ぶ超大作なので初心者はひるむかもしれないが、ひとまず押さえておきたいのは、ブラック・サバスの軌跡、そして功績だろう。

 まず、ブラック・サバスのメンバーは、イギリスのバーミンガム出身。彼らは「イギリス社会の裏側から生まれた予言者であり、失業者──道徳性に問題があるとか、社会的価値に乏しいなどといわれる人びと──だった」そうだ。彼らにとって“世の中でたったひとつ価値のある行動”は、「プロのはみだし者、プロの冒険家」になること。この志には、“規格外のアイドル”と呼ばれるももクロを愛するファンたち、すなわちモノノフたちにも多いに共感できる部分ではないだろうか。

 そうして発表したアルバム『黒い安息日』は、「ポピュラーロックの軽快なリズムを粉砕する不吉な存在感」にあふれ、「既存のジャンルに分類しがたい」1枚となった。また、ジャケットのB級サイコホラーのようなイラストをはじめ、「当時に流行していた黒魔術や神秘主義をモチーフに、気味の悪いイメージ」を築きあげ、それまでロックスターたちと同じように愛の必要性を説きながらも、「神の恩寵はもう期待できないとはぐれ者たちに警告」。こうした“気高いアウトサイダー”としての視点が人気に火を付けたのだ。

 時代の「2歩先」をいっていたと言われるブラック・サバスだが、本書はオジー時代のブラック・サバスの必聴アルバムも紹介。そのほか、「思わず拳を突き上げたくなる真のメタルアンセム」なども掲載されているので、ヘビメタ史を押さえたあとは、聴く勉強もオススメしたい。

 ちなみに、本書には、オジー・オズボーン・バンドの「おろし金をギターにとりつけておき、拳をこすりつけて血だらけにする」や、ガンズ・アンド・ローゼズの「頭にケンタッキー・フライドチキンの容器をかぶる」といった「おかしなステージ演出」も取り上げられている。ブラック・サバスを彷彿とさせる『黒い週末』といった楽曲もこなしてきたももクロだが、「Ozzfest」では、このような強者たちに負けず劣らないステージを魅せてくれるのか。大いに楽しみにしたい。 

(ダ・ヴィンチ電子ナビより)

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