生え際と眉毛の間、指4本以上で「ハゲ」確定? 薄毛の「悩み」あれこれ

ダ・ヴィンチニュース / 2013年6月16日 7時20分

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『ハゲに悩む 劣等感の社会史』(森正人/筑摩書房)

4コマ漫画『コージ苑』(小学館)で知られる漫画家の相原コージ氏は、若かりし頃に「ハゲにだけはなりたくない」と悩んだことを随筆漫画『神の見えざる金玉』(双葉社)に描いている。なぜそこまで嫌なのか? それは、ハゲが「◯◯さんって誰だっけ?」「ほらあの人だよ、ハゲの!」というだけでその人が説明されてしまい、全人格を無効にするからだそうだ。そして、もし自分がハゲだったらどうするかをシミュレートし、自殺する、スキンヘッドにする、あるところから持ってきてごまかす、カツラにするなどの様々な選択肢を検証した結果、ハゲになった際の究極の選択肢「職業をかえる」という飛び道具を考案、ハゲていても違和感のない職業として、映画などではだいたいハゲている人物設定だという「執事」になるという大胆な発想で「ハゲ」の回を結んでいる(相原氏は現在も漫画家として活躍されています!)。

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 しかしなぜ人は髪の毛が抜け落ち、ハゲることに悩むのだろうか? 『ハゲに悩む 劣等感の社会史』(森正人/筑摩書房)を見てみることにしよう。

 本書によると、髪の毛が何本以下になったら「ハゲ」や「薄毛」となるといった明確な定義というものはなく、あくまで見た目や印象に左右されるものなのだそうだ。そこで、かつらメーカーのアデランスは「マユ毛の上部に手の指を四本並べて、それ以上に額の面積が広い人、頭頂部をのぞいて、地肌がすけて見える人」を薄毛の基準として1984年に1万人を調査したところ、薄毛の人の割合は全体の18.4%だったそうだ。成人男性の約5人にひとりが薄毛……意外と多い?

 歴史上の有名人もハゲに悩んだというエピソードも載っている。「賽は投げられた」という名台詞でもおなじみの、ローマの独裁者カエサルも頭髪の薄さに悩んでいて、月桂樹をかぶることでハゲを隠していたという涙ぐましい努力をしていたそうだ。そのハゲ頭を心配したのが、愛人であったクレオパトラだ。彼女は、焼いたネズミ、馬の歯、熊の脂、シカの髄液で作られたエジプトに伝わる軟膏をカエサルに与えたそうだ。でも髪は生えることなく、「ブルータス、お前もか!」と失意のうちに暗殺されたんでしょうか……?

 また「禿髪」のことを医学では「アロペシア」といって、これはギリシャ語で「キツネ」を意味する「アロペクス」という言葉から転じた言葉で、キツネの毛が抜け替わることから名付けられたのでは、といわれているそうだ。この言葉を書き残したのが、超自然的な力や神々の仕業で病気が起こるのではないと最初に考えたといわれる古代ギリシャのヒポクラテスだ。彼は医師として、アヘン、バニラエッセンス、ワイン、オリーブ、アカシアの汁などで作った軟膏をハゲの治療薬として使い、それでも効かない重症患者にはクミン、ハトの糞、ビートの根、わさびで作った湿布を処方していたという。なんだか頭皮に滲みそう……。

 こうした育毛剤は世界中にあるそうで、現代も例外ではない。本書ではそんな養毛剤やかつらなど、ハゲに悩む人の歴史から、現在注目のAGA、またセックスが強いのか否かなどのうわさ話まで「ハゲ」にまつわるありとあらゆるネタを網羅、中にはハゲ・パワースポットなる神社まで紹介している。

 これからの季節の「湿気」と「暑さ」は、抜け毛の大敵だそうだ。もちろん本を読むだけで髪は生えないし、悩みがなくなる保証もないが、特定の波長の光を出すLEDを照射して毛根周辺の細胞を活性化させる技術があることや、毛髪の成長を促進する物質を分泌する毛乳頭細胞を人工培養で増やして、頭皮に植えるという再生医療の開発も進んでいるそうなので、ちょっと明るそうな「発毛の未来」を考えてみてはどうだろうか。


文=成田全(ナリタタモツ)
(ダ・ヴィンチ電子ナビより)

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