「あさイチ」でも話題沸騰! “専業主婦”論争が再燃する本当の理由

ダ・ヴィンチニュース / 2013年6月16日 7時20分

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『日本の男を喰い尽くすタガメ女の正体』(深尾葉子/講談社)

 これまで「セックスレス」「ママうつ」など、女性が興味を持つテーマを取り上げ、その度に大きな反響が寄せられているNHK朝の情報番組『あさイチ』。5月22日に放送された「オンナの選択 “専業主婦”第2弾」では番組中に寄せられたFAXはもちろん、放送後もネットを中心に「専業主婦は楽ではない」「専業主婦とワーキングマザーを安易に対立させたがっているように思える」などさまざまな観点からの意見が飛び交っている。

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 視聴者の間で話題になったのは、番組に登場した24歳の女性。専業主婦願望が強い彼女は、彼氏がいる身ながらも、年収1千万円以上の男性と結婚するべく合コンを繰り返しているという。この女性の生き方に反発する声が多かったが、いつの時代も“楽をしたいから専業主婦になりたい”という女性は一定数存在するのが現実だ。このタイプの女性を「タガメ女」と名付け、タガメ女を生み出した社会構造をひも解き、その生態を『日本の男を喰い尽くすタガメ女の正体』(講談社)にまとめたのが、大阪大学大学院経済学研究科の深尾葉子・准教授だ。

 「タガメ女」とは、カエルなどの獲物を前脚で挟み、鋭い口吻で消火液を注入して肉を吸い取るタガメのごとく、「ガッチリと男を捕まえて、月一万円という小遣いで身動きがとれないようにし、チューチューと夫の収入と社会的なリソースを吸いつくす」女のこと。深尾氏は専業主婦にタガメ女率が高いことは否定できないと断言している。

 その背景にあるのは、経済成長を重視したために女性を家庭に押し込めた社会構造だと指摘。高度成長期以前の日本における既婚女性は、家事を切り盛りしながらも農作業や自営を手伝う「労働者」という側面を持っていた。しかし、男性が家業を捨て、サラリーマン化社会が生まれたことで「女性を“主婦”として労働の現場から隔離し、家庭という“箍”をはめて“保護”の対象」にし、「日本の長い歴史のなかで初めて“家事・育児を専業として担う女性”が誕生した」という。その中で専業主婦の女性は家事や育児の重要性を声高に主張したり、夫の収入やリソースを吸い取ることで相手を支配し逃げられなくしたり、「郊外のベッドタウン」「マンションの階層」など“他人にわかりやすい幸せの条件”を集めることに必死になったり、と生き残るための手段を講じ、その結果、タガメ女が増殖したと解説している。問題なのは、経済状況や女性の社会進出によって、タガメ女を許容するだけの体力が今の社会にはないことだという。そのひずみが、家庭崩壊や子世代の晩婚化などに大きな影響を与えている、と深尾氏は懸念する。

 しかしタガメ女だけが悪者で加害者と考えるのはあまりに短絡的だ。“女性が中心にいる家庭が幸せ”という社会のプレッシャーや、「夫婦なんてそんなもんさ」とタガメ女と向き合わずにきた“カエル男”も「共犯」だと深尾氏は言う。

 専業主婦やワーキングマザーなど、どういったライフスタイルを選ぶかは人それぞれ。ただ、「自分にとって何が幸せか」を把握し納得していれば、他人の生き方と比較したり、自分の幸せを誇示したりする必要はなくなるはず。ましてや「専業主婦問題」が発生することはないのだ。知らぬうちに偏った価値観に縛られていないか、日々自分を見つめ直すことが「タガメ女」にならない近道なのかもしれない。


(ダ・ヴィンチ電子ナビより)

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