ハウス加賀谷を苦しめた「統合失調症」とは?

ダ・ヴィンチニュース / 2013年8月13日 11時30分

写真

『統合失調症がやってきた』(イースト・プレス)

 今をさること14年前、人気絶頂のお笑い芸人が突然ブラウン管から姿を消した。お笑いコンビ、松本ハウスのハウス加賀谷だ。彼は持病であった統合失調症に悩まされ、その悪化により99年に芸能活動を休止した。おりしも当時の人気番組『タモリのボキャブラ天国』でブレイク、脚光を浴びたさなかのことであった。

関連情報を含む記事はこちら

 それから時は流れて10年後。長い歳月をかけ、加賀谷は薬物療法の末に症状が安定。統合失調症は寛解(症状が一時的あるいは継続的に軽減した状態)したと思われたため、4年前にコンビを復活。先日、加賀谷の半生とコンビ復活までの軌跡を綴った彼らの著書『統合失調症がやってきた』(ハウス加賀谷、松本キック/イースト・プレス)の出版記念イベントが行われた。現在ふたりは芸人として活動しながら、NHK Eテレ『バリバラ~障害者情報バラエティー~』に準レギュラー出演、統合失調症の理解を深めるため、全国各地の講演会から招かれているという。

 本書は、加賀谷のインタビューを相方の松本キックが聞き書きするスタイルでまとめられた。幼少時代からのエピソードを時系列で追い、合間に松本の回想を挿入、症状悪化の経緯が理解しやすく構成されている。加賀谷の統合失調症との闘いは中学2年の授業中、「かがちん、臭いよ」と、教室の背後から友人の声が聞こえた気がした瞬間から始まった。振り返ることで声の襲来を阻もうとしても、前を向くとまた声がする。統合失調症の症状のひとつである「幻聴」であり、さらに「自己臭恐怖症」も併発していた。人の精神は、小さな混乱や恐怖が積み重なってゆくことでこのように追い込まれ、自分の内側になだれ落ちるように崩れ壊れてゆくものなのか。加賀谷が体感した世界が、リアルな表現で淡々と綴られていくことに圧倒される。

 この統合失調症という病気について、詳しくご存知の方はどれぐらいいるだろうか。厚生労働省による推計では、現在受診中の患者数は79.5万人とされている(2008年患者調査)。「幻聴」や「幻覚」「妄想」が現れたり「感情が平坦化」することで、思考が混乱する精神疾患である。思春期から30歳代の青年期にかけて発症しやすく、およそ100人にひとり弱がかかると言われ、決して特殊な病気ではない。原因は今のところ明らかではなく、脳内神経伝達物質の変化など個人のもつ要因のほか、大きなストレスなども関与するとされており、薬物療法と精神科でのリハビリテーションによる治療を組み合わせることが効果的であるとされている(『統合失調症ABC』大塚製薬ブックレットシリーズより)。加賀谷は中学2年当時に発症し、芸人としてブレイク後もその症状は治まることなく、多忙な日々の中、再び彼のみぞ知る暗黒の世界に閉じ込められた。

  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
ダ・ヴィンチニュース

トピックスRSS

ランキング