やられたら倍返し! 『半沢直樹』の原作となった銀行が舞台の爽快エンタテインメント

ダ・ヴィンチニュース / 2013年8月18日 7時20分

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『オレたちバブル入行組』(池井戸潤/文藝春秋)

 「やられたらやり返す! 倍返しだ!!」という台詞、山谷あたりではなく、日本金融経済のエリート様が集まる銀行を舞台にしての言葉です。しかも、この間なんて「十倍返しです!!」と言っていた。当社比5倍。そんな決め台詞がウケにウケているTBS日曜劇場『半沢直樹』の原作の一部(続編『オレたち花のバブル組』も合わせて原作ということになっているのです)が『オレたちバブル入行組』(池井戸潤/文藝春秋)。

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 半沢直樹はメガバンク、東京中央銀行大阪西支店の融資課長、上司にゴリ押しされて仕方なく進めた融資先が倒産して、出向の危機に遭います。銀行は、「上司の失敗は部下の責任、部下の手柄は上司の手柄」という恐るべき縦社会、そして銀行の出向は片道切符、一度やらかしたら二度と銀行に戻ることはかないません。

 しかし半沢は、持ち前の反骨心からやられたままにはならず、知略を尽くして上司の横暴に対抗していく…。そう、これは『水戸黄門』などと同じ、仇討ちテーマの時代劇。だから、読後の爽快感は酷暑な夏の風呂上がりのシーブリーズなみなのです。しかも、最後の最後まで我慢に我慢を重ねてクライマックスでやっと…という東映ヤクザ映画方式ではなく、半沢君はかなり早い段階で倒産社長を言い負かしたり上司をやり込めたりするので、あまりストレスをためずに読むことができます。そこもせっかちな私にはうれしく、どんどん読み進んでしまいました。

 こちらの原作は、より時代劇的に制作されているドラマほど敵があざとくなく、その分半沢のアクの強さが際立ちます。あまりにも完膚なきまでに叩き潰すので、相手が多少気の毒になるほど。しかし、そのダークヒーローぶりもまたよし! ドラマのファンの方にはもちろんお勧めですが、TVなどにはまったく興味がないという方にもお勧め。新書判の銀行解説書などよりよほど銀行や会社経済の仕組みがわかります。


文=遠藤京子
(ダ・ヴィンチ電子ナビより)

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