記憶喪失のシャアが風呂なしアパートで暮らし?

ダ・ヴィンチニュース / 2013年8月29日 11時50分

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『シャアの日常』(南北/角川書店)

 放送開始から30年以上たって今なお『機動戦士ガンダム』の人気は衰えない。なかでも、シャアの人気は別格。“赤い彗星”とも呼ばれているように、赤と角つきが特徴で、パイロットや指揮官としてとても有能だったシャア。「認めたくないものだな…自分自身の若さ故の過ちというものを…」「坊やだからさ」などの名言も残しており、カリスマ性も抜群だった。

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 しかし、8月23日に発売された『シャアの日常』(南北/角川書店)では、記憶喪失になったシャアがとあるアパートで目覚め、超庶民的な新生活をスタートすることに。6畳ほどの風呂なしアパートで、記憶喪失になった彼は、いったいどんな姿を見せているのだろうか?

 まず、目覚めてすぐに壁にかかっていた自分の赤い服を見て、変態に拉致されたと思い込むシャア。着るものがないので仕方なくその服を着るのだが、ヘルメットだけは「ふん!誰がかぶってやるもんかみっともない!」と言ってなかなか被ろうとしないのだ。それなのに、買い物に行くときは平気で花柄のサンダルを履くし、銭湯に行くときも下駄を履いていく。そのうえ、なんと赤い服の上からドテラを羽織り、ヘルメットに石鹸やシャンプーなどのお風呂セットを入れて向かうのだ。こんなシャアを見たら、シャア好きのみなさんはショックを受けるかもしれないし、もし本人がトレードマークであるあの赤い服とヘルメットを本当にダサいと思っていたなら、ちょっと複雑な気分になる。

 また、復讐のためには手段も選ばないし、死にかけても戻ってくるような執念深さがあった彼だが、そんな姿はどこにも見当たらないのだ。アパートで見つけたツナ缶を食べようとするときも、痩せ細って薄汚れたネコが窓をかりかりひっかく姿を見て、「君もツナ缶半分食べたまえ」と泣きながら抱きしめる。あの姿で泣きながらネコを抱きしめるシャアの姿なんて、違和感しかない。それに、初めて行った買い物がよほど楽しかったらしく、料理をしながら「そこで私が値切ったらね なーんと三つで二百円にまけてくれたんだよ」と嬉しそうにネコに語りかける。指揮官としての威厳はゼロだが、女子の母性本能は大いにくすぐりそうだ。

  なぜか異様に赤いものを選びたくなってしまうという習性(?)だけはかろうじて残っていたよう。妹だと言って突然おしかけてきたセイラに服を洗濯され「間違って漂白剤を入れちゃいましたー…」と言われると、決して怒りはしないのだが「やっぱり白は似合わないな」としみじみ思う。そして、意外にも辛いものは苦手なシャア。それにも驚きだが、彼はちょっと涙目になりながらも緑のうどんではなく赤い激辛ラーメンを選んでしまうのだ。さらに、ラーメンを作っている途中でどんぶりがないことに気づくと、なんと自分がかぶっていたヘルメットをどんぶりがわりにしてしまう。あの2本の角のおかげで安定感はバッチリだが、この行き当たりばったりな感じはシャアらしくない。そのうえ、ヘルメットをどんぶりがわりにしていたのに、それを忘れてそのままかぶってしまうようなおっちょこちょいな一面も。こんなシャアを見たら、一気に親しみがわくはず。

 イケメンな見た目やカリスマ性にばかり注目が集まりがちだが、実は人間臭いところが魅力とも言われてきたシャア。そんな彼の魅力を最大限引き出すためには、庶民的な生活がピッタリだったのだろう。もしかしたらシャアのファンだけでなく、シャア嫌いだった人も彼の魅力に気づくきっかけになるかも?

文=小里樹

(ダ・ヴィンチ電子ナビより)

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