百田尚樹×稲盛和夫対談「戦後の復興を支えた男たちの生き方を、とにかく今の日本に知らせたい」

ダ・ヴィンチニュース / 2013年9月15日 7時20分

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『海賊とよばれた男』(百田尚樹/講談社)

 いま最も書店員の支持を集めている作家、百田尚樹。今年の4月には『モンスター』が映画化。文庫の発行部数が300万部を突破した『永遠の0』も映画化され、年末に公開を控えている。また『海賊とよばれた男』は2013年本屋大賞を受賞した。

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 『ダ・ヴィンチ』10月号ではそんな百田氏を大特集。特集では、百田氏と京セラ株式会社の創業者であり、JAL再建の立役者としても注目を集めている稲盛和夫氏との対談を掲載。大正・昭和という激動の時代、戦後日本復興のため尽力した主人公を描いた『海賊とよばれた男』について、そして「働く」ということについて語っている。

【稲盛】こういう素晴らしい本を書かれるのは大変でしょうね。どのくらいの時間をかけて書きあげられましたか?

【百田】『海賊とよばれた男』は7ヵ月で書きました。

【稲盛】たった7ヵ月で! じゃあ、その前に調査にかなり時間をかけたんでしょうね。

【百田】調査を含めて7ヵ月です。出版社の人には「あんまり7ヵ月といわんでください、重みがないから。せめて構想5年・執筆5年ぐらいに」といわれるんですが(笑)。私は出光佐三について、名前しか知らなかったんです。ところがあるとき「日章丸事件って知ってますか?」と知人にいわれ、説明を聞いてびっくりしました。昭和28年に、世界の石油資本やイギリス政府を敵に回して、イランから石油を運んできた人たちがいた。ちょうどそのころ私は悩んでいました。

【稲盛】ほう、それはどうして?

【百田】東日本大震災があって、小説家としてどんな作品を書くべきなのか。放送作家として、ただ笑える番組をつくっていればいいのか。それが日章丸事件を知り、出光佐三を知って、ぜひこれを小説にせねばと決意しました。一種の使命感ですね。バブルがはじけ、リーマンショックがあり、官僚も経済学者も「日本はもうだめだ」といっていました。追い討ちをかけるように震災です。でも68年前の日本はもっとひどかったんです。東京も大阪も名古屋も、日本中の大都市が見渡す限りの焼け野原です。300万人の日本人が亡くなり、一千数百万人が失業しました。さらに莫大な戦争賠償金。当時、海外の専門家は、日本は50年経っても昭和5年と同等の経済レベルにならないだろうと予言していたそうですね。ところがたった20年で戦勝国であるイギリスやフランスを追い越すまでの復興を成し遂げました。その象徴として私は出光佐三を書きました。とにかく日本は立ち上がる、世界はふたたび日本に驚くという信念で戦い抜いた。この男たちの生き方をとにかく今の日本に知らせたいと思って、取り憑かれたように7ヵ月書き続けました。


取材・文=永江 朗 
(『ダ・ヴィンチ』10月号「百田尚樹」特集より)

ダ・ヴィンチニュース

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