1秒のセリフに4文字! 映画の字幕はどうやって作られる?

ダ・ヴィンチニュース / 2013年9月16日 7時20分

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『字幕屋に「、」はない』(太田直子/イカロス出版)

 最近は、洋画を見るときに吹き替え版を選ぶという人が多いようだが、やはり映画好きのなかには、「映画を観るならやっぱり字幕」という人も少なくない。映画づけの生活を送っているという元AKB48の前田敦子も、「私はいつも字幕で観る」派だそう。しかし、そんな字幕もどういうふうに作られているかということはあまり知られていない。そこで、『コンタクト』や『ヒトラー 最期の12日間』、「バイオハザード」シリーズの翻訳などを手掛けた太田直子のエッセイ『字幕屋に「、」はない』(イカロス出版)から、字幕のルールや字幕制作の裏側などを紹介してみよう。

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 まず、字幕屋が最初に行う作業が「ハコ切り」と呼ばれるもの。これは、字幕が切り替わるタイミングを示す「/」を入れる作業で、センテンスごと、あるいは「1秒以上の間が空いたら切る」「話者が替わったら切る」「話す相手が替わったら切る」「口調が変わったら切る」「長くしゃべっているときはブレス(息継ぎ)で切る」「ブレスのない長ゼリフでも5秒を超えたら切る」といったように、芝居に合わせて区切っていくのだ。他にも、字幕にはいくつかのルールがある。セリフ1秒の間で使える文字数は、4文字ということ。あまり意識したことはないかもしれないが、実は句読点も使われていない。その代わり、「、」は半角、「。」は全角スペースを入れることで表しているのだ。

 しかし、いくらこういったルールや目安があっても、字幕にはマニュアルがない。なぜなら、同じ英文でも話している役の性格、その場面、話すスピードやいろんな条件によって、表現が変わってくるからだ。たとえば、入浴中に見知らぬ男に扉を開けられ、悲鳴をあげる女性がいたとする。そこに恋人が駆けつけて「Did you touch her!?」と叫んだ場合、「彼女に触ったのか」という訳は間違いではないけれども、違和感がある。そこで、作者は「彼女を襲ったのか」という案を出したりしながら、担当者と話し合って最終的には「彼女に何かしたのか」という字幕を付けた。どんなに辞書を引いても、「touch」に「襲う」とか「何かする」といった意味はないのだが、こんなふうにその状況に合わせた字幕を付ける必要がある。だから、聞こえてくる英語と文字が違う! ということがあるのだろう。字幕屋が学んで身につけるべきなのはマニュアルのような字幕のパターンではなく、「観客にとってよい字幕というものはどういうものか判断する力」なのだ。

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