日本代表のパンケーキは意外にも…、知ればさらに混乱? 「パンケーキ」の定義とは

ダ・ヴィンチニュース / 2013年10月31日 12時0分

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『パンケーキの歴史物語』(ケン アルバーラ:著、関根光宏:訳/原書房)

 近頃、スイーツファンを中心に大人気となっている「パンケーキ」。都内では行列のできるパンケーキ店が続々登場しており、雑誌やネットでも美味しいパンケーキ店やレシピの特集がひんぱんに組まれている…わけなのだが。

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 そうしたブームを、ちょっと遠目に眺めている人にとって、なかなか理解しがたいのが、いわゆる「パンケーキ」として紹介されるメニューの幅広さだろう。シロップやクリーム、フルーツ類がどっさりのったものから、ソーセージやベーコンを添えた、明らかにスイーツとは呼べない食事系まで。薄っぺたいホットケーキみたいなのが積み重なっているという共通項はあるものの、それこそ「ホットケーキ」に比べどこらへんが“ケーキ”?? と、言いたくなるものが多数含まれている。はたして「パンケーキ」とは、いったい何か? アメリカの食物史研究家であるケン・アルバーラが書いた『パンケーキの歴史物語』(ケン アルバーラ:著、関根光宏:訳/原書房)には、その意外な歴史や定義が詳しく書かれている。

 まず目をひらかされるのが、その歴史だ。先ほど「『ホットケーキ』に比べどこらへんが“ケーキ”??」などと書いてしまったが、実は現在の「ケーキ」のルーツが「パンケーキ」なのだそう。つまり、華やかに進化した各種のケーキを食べつくし、再び原点に立ち返らんとするスイーツ女子たちの「ご先祖参り」が、現在のパンケーキブームであるともいえるわけだ。

 さらに驚かされるのが、パンケーキの定義。パンケーキの「パン」が、フライパンの「パン」と同じ意味だということくらいは知っている人もいるだろうが、著者はさらに詳細にパンケーキを定義する。

──なんらかのでんぷん質の材料をもとにした生地から作られる平たい食べ物であり、通常、少量の油をひいた平らな調理器具の上で焼かれる──
(『パンケーキの歴史物語』20p)

 単純明快ではあるが、この一文から現在ブームとなっているあのパンケーキたちを連想するのはかなりハード。実際、「小麦粉を使うこと」や「生地を甘く味付けすること」はパンケーキの必須条件ではなく、筆者によればフランス料理のひとつである「ソバ粉のガレット(クレープの一種)」なども、パンケーキに分類されてしまう。そして、日本を代表するパンケーキとして、なんと「お好み焼き」が数ページにわたり紹介されているんだからショッキング。確かに、上記の定義にバッチリ合致しているうえ、一般に連想されるパンケーキと同様に小麦粉を使っているわけだが、お好み焼きをパンケーキと呼ぶのは、日本人にはTPP交渉以上の無理難題。彼女をデートに誘い「パンケーキでも食べない?」とお好み焼き店に入っていったら、まず相当なひんしゅくをかうはずだ。

 ちなみに『パンケーキの歴史物語』には、意外なことに、日本人にとってパンケーキ以上になじみ深い「ホットケーキ(hotcake)」に関する言及がまったくない。これは、「ホットケーキ」という言葉が、アメリカ(筆者の母国)ではほとんど廃れてしまっているためかと思われる。日本では「甘くて分厚いパンケーキを特に“ホットケーキ”呼ぶ」などといわれる場合もあるが、少なくともアメリカではそうした区別すら意識されていないようだ。とはいえ、『パンケーキの歴史物語』を読む限り、あんなに分厚くてフカフカした「パンケーキ」は見当たらない。海外に日本のホットケーキを紹介したら、結構ブームになるのでは? と思うのは、僕だけでしょうかね?? 


文=石井粉郎/ダ・ヴィンチ電子ナビ





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