不老不死は幸せ? 高橋留美子の代表作のひとつ『人魚』シリーズとは?

ダ・ヴィンチニュース / 2013年11月10日 11時20分

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『ダ・ヴィンチ』12月号(KADOKAWA/メディアファクトリー)

 高橋留美子といえば、響子さんにラムちゃん、乱馬に犬夜叉といった個性的で魅力的なヒーロー&ヒロイン、そしてその脇をかざる愉快なサブキャラたち。誰でもきっと一人はお気に入りの、ともすれば胸をときめかせ恋してしまったキャラクターがいるはずだ。

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 時に過酷な運命や悲しい過去を背負いながらも、彼らは毎日を愉快痛快に生きている。そのほとんどがアニメ化されていることもあり、読者のほとんどはおそらくそれら長編作品の印象が強いことだろう。が、高橋留美子作品には、ちょっとビターな大人の世界を垣間見せてくれるものもある。『ダ・ヴィンチ』12月号の高橋留美子特集では、そのうちのひとつ「人魚」シリーズを紹介している。

――不老不死という言葉にどんなイメージを持つだろうか。若い姿のまま永遠に生き続けられるなんて夢のようだ、と思うだろうか。

 発表済みの話数は9話と少ないながらも、高橋留美子の代表作のひとつに数えられる「人魚」シリーズは、図らずも不老不死になってしまった二人の男女を通して「生きる」ということの本当の意味を鋭く追求する異色作だ。

 500年前、おもしろ半分で食べた謎の肉が本物の人魚の肉であったために、死なない体になった湧太。年を取らないがゆえに一処に長く留まることができず、日本中をさすらう。

 旅の途中、真魚という道連れを得ても、二人に安住の地はない。そして、死に見放された者たちが巻き起こす残酷な事件の数々に、否が応でも巻き込まれていく。

 永遠の放浪が湧太と真魚に見せるのは、人という生き物の卑小さ、醜さ、哀れさ、そして生命の尊さだ。

 すべてを飲み込む死。

 それをただ忌むべきものとして捉えるのではなく、その奥にある真実、つまり死が人にとって時には大きな安らぎにもなることを教えてくれる本シリーズからは、高橋留美子という作家が内に宿す深い思想性を感じることができるだろう。

 ここでは9話のうち3話をご紹介。同誌では残り6話のほか、不器用なオトナたちのアイロニーを描いた高橋留美子の傑作ショートストーリー「高橋留美子劇場」から傑作短編の数々を紹介している。

■「人魚は笑わない」
湧太がたどり着いた道もない岬の村に住む女たちは、なぜか皆同じ顔をしていた。たった一人、足枷をされた真魚を除いて。余所者を許さぬ村に隠されていた恐ろしい真実とは。湧太と真魚の出会いを描いた第1話。

■「約束の明日」
湧太が60年前に滞在した町。そこである女の墓参りをするはずが、女がまだ生きていると聞かされた。それも、昔のままの姿で。湧太が出奔した後、町に、そして女の身の上になにが起こっていたのか。

■「夜叉の鐘」
窓辺に映る女の幽霊と生き返る男の噂を聞いた湧太が乗り込んだのは、明治時代に働いたことのある屋敷だった。そこに現れたのは、かつて姉と心中したはずの残忍な弟。異常なまでにある人形に執着するその理由とは。


構成・文=門賀美央子/ダ・ヴィンチ12月号「大人の高橋留美子だっちゃ!」特集

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