思わずディズニーも改竄!?あなたの知らない『アリとキリギリス』の世界

ダ・ヴィンチニュース / 2014年1月27日 11時40分

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『Like a KIRIGIRISU “保障のない人生”を安心して生きる方法』(伊藤氏貴/KADOKAWA エンターブレイン)

 「感情移入しすぎないでくださいよ」。そう言われて手渡された新刊『Like a KIRIGIRISU “保障のない人生”を安心して生きる方法』(伊藤氏貴/KADOKAWA エンターブレイン)。その帯の表には“好きなこと最優先”、裏には“いつか必ず越えられない冬はやってくる。そのときあなたは、どうしますか…?”と書かれてある。

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―ひとまず凍死しちゃっていいかしら。

 実は『アリとキリギリス』には苦い思い出がある。キリギリスの寿命は元来2ヵ月。たった2ヵ月、夏の間しか生きられないキリギリスに、「楽しく生きるな。コツコツ働くアリのほうが偉い」と謂わしめるこの童話は残酷だし、アリがこんなにいい奴らなわけがない、と小学生の頃に女教師に伝えると、授業を妨害したと反撃をくらった。まさに、子キリギリスだった私がアリ地獄に突き落とされた瞬間だった。以来、「キリギリスはアリをじゃんじゃん踏みつけて、尻の蜜でも吸って生き延びればいい」と思い続けていた。

 ところが、「心優しいアリが最後はキリギリスを助ける」というあのできすぎた美談は、どうやら“作り話の作り話”だったらしい。元の話は「食べ物をわけてください」と懇願するキリギリスを、「手がかじかんでバイオリンが弾けないなら、踊りでも踊っておけよ」と、アリはピシャッとドアを閉めて追い返す。なんて嫌な奴ら! それをリライトしたのが、あのディズニーだ。根っからのキリギリスだったディズニーは、きっと最後があまりにも不憫だったのだろう。「キリギリスだって頑張ってバイオリン弾いてたじゃん。しかもアリに聴かせてあげていたじゃん。なのに、餌を運ぶ奴は報われて、バイオリン弾く奴は報われないなんて、そんな不公平あるかよ!」とディズニーが思ったかどうかは定かではないが、「好きなことを貫け」とばかりに、アリがキリギリスを手厚く迎え入れる結末にストーリーを書き換えたのである。

 このほかにも同書ではさまざまなタイプのキリギリスが紹介されていて、どれもリアルで興味深い。「冬さえ来なきゃいいんだ!」と、秋がくる頃、夏を求めて異国へと渡る「冬を知らない」キリギリス。仲間の悪口や仕事のキツさを吐露するアリたちに「それできみらは幸せか」と問うアランちっくなキリギリス。見栄っ張りのアリたちの本質をうまく利用し、「お隣さんはパンくずをこんなに恵んでくれました」と、“恥と頭はかきしだい”作戦で、ありあまる食べものを前に高笑いするキリギリス。思わず「あるある」と膝を打ちたくなる。

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