宇宙の4割を占める驚異の見えない物体「暗黒物質」とは

ダ・ヴィンチニュース / 2014年1月29日 11時40分

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『暗黒物質とは何か 宇宙創成の謎に挑む』(鈴木洋一郎/幻冬舎)

 当たり前の話だが、昼間は明るい。これまた当然の話だが夜は暗い。

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 暗い夜には星が空を埋めている。あの星たちは太陽と同じように燃えている天体だ。太陽がいっぱいというやつだ。宇宙は無限に広く、また星の数も無限だとするなら、そこで数億数兆の星は満天をびっしりと埋ずめているはずだ。だったら、ああして輝いている恒星が放つ光量で夜でも空は光り輝いているはずだと。

 これが、19世紀の天文学者オルバースの考え出した逆説だ。

 この逆説自体は、宇宙は有限である、遠くの星は光速を越える(相対的にだけどね)スピードで遠ざかっているのでその光は地球に届かない、などなどの理由で解決されてしまっているらしい。

 わたしは根性まがりなのでオルバースの説を信じたいけど。

 で、ダークマターのお話。今度は光量でなく、宇宙全体の質量が問題になってくる。計算によると、宇宙全体には、目で見える以上の、というか宇宙全体の4割にも及ぶ見えない物質があると仮定しなければならなくなった。光を吸い取り、他の物質にも反応せず、まったく見えない物質があるのではないか、というのである。

その物質をダークマター、または暗黒物質と呼ぶ。

 このやっかいな物質を探すプロセスを解説したのが『暗黒物質とは何か 宇宙創成の謎に挑む』(鈴木洋一郎/幻冬舎)である。何がやっかいって、見えないものを探すんだから、これ以上ややこしい話はない。もちろんまだ課程の段階でこれっぱかりも実物は見つかっていないのである。

 プロセスの解説なので、「暗黒物質とは何か」というより、「どうやって探しているか」といった内容の本になっている。そこで話題は物質の最小単位である素粒子の説明から入っていくことになる。そんなこと知らん。スマホでゲームするのが忙しいという人は、無責任のようだが読まなくても人生に影響はない。物理学、天文学の専門用語が次々と出てくるのでちょっと敷居の高い本なのではある。

 計算によると暗黒物質は宇宙全体の物質の、少なくとも4割をしめるという。1分間に私たちの体を10万個貫いているらしい。わたしなどこれを聞いただけでぞくぞくしてくる。そりゃいったいどういうことだ。ページがどんどん進む。暗黒物質が本当にあるとして、ビッグバンのときなぜそんなものが生まれたのだろうか。

 まだ見つかっていないんだから、読めば読むほど謎は深まっていく。この謎がいい。不思議なことがあって、それを解くための仮説がたち、科学者が賢明に立証しようとする。そうしたプロセスが着々と書き進められていくところが本書のキモなんである。

文=岡野宏文

ダ・ヴィンチニュース

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