あなたはどの金田一が観たい? 『金田一耕助映像読本』から選ぶ究極の金田一映像作品ベスト5

ダ・ヴィンチニュース / 2014年1月30日 17時0分

写真

『映画秘宝EX 金田一耕助映像読本』(洋泉社)

 よれよれの袴にもじゃもじゃ頭の探偵さん、とくれば誰もがこの名前を思い出すはずだ。

関連情報を含む記事はこちら

 金田一耕助。作家・横溝正史が生み出したこのキャラクターは、まさに日本を代表する名探偵のひとりと言っていい。

 ミステリファン以外にも金田一がここまでの知名度を獲得できたのは、やはり映像化作品の影響が大きいだろう。1976年に爆発的なヒットをした角川映画『犬神家の一族』をはじめ、最近ではSMAPの稲垣吾郎が金田一を演じたテレビシリーズも制作されるなど、現在でも金田一作品の映像化は連綿と続いている。

 その金田一耕助の映像作品を本格的に研究したムック『映画秘宝EX 金田一耕助映像読本』(洋泉社)が2013年に発売された(ちなみに2013年は金田一耕助生誕100年にあたる年とのこと。原作では金田一は1913年生まれ)。今まで製作された金田一映画・ドラマのほとんどを網羅しレビュー、さらには石坂浩二や古谷一行といった歴代の金田一俳優へのインタビューや同一原作の映像化比較など、金田一映像化作品に関する本の決定版というべき充実の内容である。

 そこで今回はこの『映画秘宝EX 金田一耕助映像読本』で紹介されている作品のなかでも、特にこれだけは見たい! という作品を5つ選んでみた。なかにはフィルムが残されていない作品もあるが、話の中身はこのムックで確認できるので気になったらぜひ目を通してみると良いだろう。
 
●1976年版映画『犬神家の一族』(監督:市川崑、出演:石坂浩二、製作:角川春樹事務所)
 スケキヨマスク、湖の逆さま死体でお馴染み金田一映画の金字塔である。大財閥をめぐる血の悲劇を描いた本格ミステリであるが、実はこの映画、準備稿では『八つ墓村』のような怪奇伝奇ロマンのテイストが強い物語になっていたらしい。これから観る方は、ムック収録の「準備稿から読み解く『犬神家』の全貌」を参照しながら鑑賞するべし。
 
●1977年版映画『八つ墓村』(監督:野村芳太郎、出演:渥美清、製作:松竹)
 平家落人伝説、鍾乳洞の財宝、実在の事件「津山三十人殺し」をモデルにした「32人殺し」シーンと、先ほどの『犬神家』と双璧を成す金田一映画の代表作。白眉は何と言っても山﨑努の鬼気迫る演技が光る八つ墓村32人殺しの場面だ。山﨑演ずる要蔵の格好には原作にはないオリジナルの改変が加えられており、それがリアリティを与えていると雑誌『別冊映画秘宝』(洋泉社)の編集長・田野辺尚人は当ムックの『八つ墓村』要蔵論で指摘している。田野辺氏の文章を参考に『八つ墓村』の要蔵を比較するのも楽しいだろう。
 
●「火曜日の女」シリーズ(1969~1973年、テレビドラマ)
 さて、ここからは現在DVD・ブルーレイ化もされていないが、ぜひ観てみたい幻の名作・珍作について触れる。
 まずは「火曜日の女」シリーズ。原作は『犬神家の一族』、『悪魔の手毬唄』、『三つ首塔』と、何度も映像化さているメジャー作品だが、なんとこのドラマでは金田一耕助が登場せず、時代設定も原作の戦後間もない頃から放映当時の1970年代に置き換えるという、大胆なアレンジに挑戦しているのだ。金田一の出ない金田一映像作品という、珍品中の珍品かも。
 
●1951年版映画『八つ墓村』(監督:松田定次、出演:片岡千恵蔵)
●1954年版映画『犬神家の謎・悪魔は踊る』(監督:松田定次、出演:片岡千恵蔵)
 戦前の時代劇スター、片岡千恵蔵による金田一耕助は、なんとダブルのスーツにソフト帽という出で立ち! 終戦後、GHQの指導により武士道精神を謳いあげるチャンバラ映画が製作しづらくなり、時代劇俳優たちは現代劇への転換を迫られていた。千恵蔵金田一もその産物なのである。まるでアメリカの私立探偵のような格好をした金田一だが、その行動もハードボイルド。『犬神家の謎』では激しいアクションと銃撃戦を繰り広げ、犯人を追い詰めるのだ。また、千恵蔵版『八つ墓村』ではとんでもないオリジナルの大トリックが仕掛けられている。残念ながらフィルムが現存しないが、本書で紹介されているあらすじを読めば唖然とすることは間違いなし。
 
 以上、5作品の他にも膨大な数の金田一作品が製作されている。興味を持った方は『映画秘宝EX 金田一耕助映像読本』でディープな金田一映画・ドラマの世界に浸って欲しい。

文=若林踏

ダ・ヴィンチニュース

トピックスRSS

ランキング