中国人作家が描く、中国ビジネスの「危なさ」

ダ・ヴィンチニュース / 2014年2月3日 15時0分

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『中国人OLは見た! 猛毒中国ビジネス』(張益羽/講談社)

 個人的な話で恐縮だが、僕は昨年3度上海を訪れた。これまでは「中国」という国に全く興味がなく、一生訪問する事はないだろうと半ば決めつけていたのだが、ひょんな事から訪中。最初の滞在でこの都市の勢いを肌で感じ、その後しばらくの間上海という街に魅了された。万博開催後も全く衰えることを知らず、数十年前の日本、つまりバブルの頃を思い出さずにいられないイケイケぶり。ここで何か仕事をすれば、バカみたいに儲かるんじゃないか? と幻想を抱いてしまったのだが…。

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 今回紹介する『中国人OLは見た! 猛毒中国ビジネス』(張益羽/講談社)の舞台はその上海がほとんど。そして、ここで言う「中国ビジネス」とは、中国で暮らす中国人たちをターゲットとした商行為を指す。僕が漠然と思い描いていた「中国ビジネス」とは、中国国内で廉価に何かを作りそれを日本で売る、というスキームであり、中国をマーケットにしてビジネスを展開するという考え方がそもそもなかった。そこに考えが及ばないんだから、まぁ大儲けなんてできないな、と、まず自分の器の小ささに苦笑。

 そんな状態で読み始めたので、当初の目論見からは完全に外れていたのだが、とにかくこの本は「面白い」。タイトルに「猛毒」とある通り、中国ビジネスの魑魅魍魎な部分がこれでもか! というくらいに登場する。すべてのエピソードが(おそらく)実際に起こった出来事をモチーフに構成されているため、リアリティの部分も申し分ない。最近の情勢も多分に影響あると思うのだが、読み進めていくうちにどんどん中国と中国人が嫌いになる。ただ…。

 作者の張益羽氏、帰化したとはいえ、生まれも育ちも中国。現在も祖国に親兄弟が暮らし、愛国心もしっかり持っている人物。しかし、中国と日本の両国の間に挟まれ、自らを「サンドイッチ人間」と揶揄しながら、良いモノは良い、悪いモノは悪いと明快に書くことができる。そして、中国に対してあまりに辛辣な内容のこの本を、「できることなら中国で出版したい」と言い切ってくれる。この勇気には本当に感服したし、中国人の中にも彼女のような気骨のある人がいる、という事実に本当に救われた。

 日本語の文章も秀逸。単なるビジネス書に終わらず、ジェットコースターに乗っているかの様なスピーディーなエンタテインメント作品としてまとめてしまう技量もすごい。単純に読み物として捉えても高水準。どんな人でも確実にいっきに読めることと思う。

 いわゆる「中国ビジネス」に乗り出そうとしている人は、まずこの本を読んで向き・不向きを確認し、本当にそれが妥当かどうかをキッチリ検討すべき。どんな仕事でも、安易な大儲けはなどないのだから。

文=サイトウタクミ

ダ・ヴィンチニュース

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