「秘境」「グンマー」の汚名返上なるか? 群馬県ご当地ラノベの中身

ダ・ヴィンチニュース / 2014年2月6日 11時50分

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『“世界最後の魔境”群馬県から来た少女』(日下一郎:著、6U☆:イラスト、群馬県(協力):その他/PHP研究所)

 「地域ブランド調査2012」で最下位の47位、2013年も44位に選ばれてしまった群馬県。ネットでも「秘境」「未開の地」「グンマー」とネタにされ、その扱いのひどさがまた話題になったりもしている。そんな群馬県を舞台にしたラノベ『“世界最後の魔境”群馬県から来た少女』(日下一郎:著、6U☆:イラスト、群馬県(協力):その他/PHP研究所)が1月17日に発売された。県や地域を扱ったラノベには、名古屋ネタ満載の『8番目のカフェテリアガール』(石原 宙:著、029:イラスト/集英社)などもあるが、なんとこの作品は群馬県の協力も得た初のご当地ラノベなのだ。その中身とは、いったいどうなっているのだろう?

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 物語は、群馬県からの転校生として登場する少女コヨトル・ウェウェコヨトル・ショチトルコヨトルが群馬県による世界支配を目論み、かつて世界を滅亡させた邪神「群馬王」を復活させようとするというもの。彼女は、褐色の裸身に狼の毛皮をまとった美少女で、髪の毛も革紐と獣骨で結んでおり、頭には鮮やかな羽飾り、首からは水晶の神像をさげ、背中に血塗れの巨大な斧を背負っている。とても現代の日本人とは思えない格好をしているのだ。そして、群馬県は「田んぼと梅畑と温泉とダルマしかないという僻地」。「その神秘を侵そうとするものは不思議な力で死ぬことになる」という未開の地として登場する。

 また、群馬といえば、やはり欠かせないのが「上毛かるた」。小学生の頃から、冬になると必ず上毛かるた競技会に参加しているので、群馬県民なら誰でも暗唱できるそう。これは、群馬県の郷土愛を育てるために作られたもので、作中では「イスラム圏におけるコーランにも匹敵する聖典」として登場している。しかも、コヨトルはこのかるたを元にした技を次々繰り出す。「群馬名産! 三波石!」と叫ぶと、庭石にも使われる巨大な三波石が敵に向かって飛んでいく。これは、「さ」の札にあたる「三波石と共に名高い冬桜」に由来したもの。ほかにも、「ふ」にあたる「分福茶釜の茂林寺」で分福茶釜。「ま」にあたる「繭と生糸は日本一」から、巨大な蚕を召喚したりもする。

 さらに、群馬王の力を狙う人物がコヨトルを従わせるため、あの手この手で彼女を責めるので、この本を読めば群馬県民の弱点もわかってしまうかもしれないのだ。たとえば、「峠の釜めし」に入っている砂糖煮のあんずを「最初にいきなり食べてやる」とか、幅広の生麺を旬の野菜と一緒に煮込んだ新名産「おっきりこみ」を味噌味にしてカボチャを入れ、山梨の「ほうとう」と見分けがつかないようにすると言って脅す。さらに、「タルタルカツ丼」の豚肉を鶏肉に変えて「チキン南蛮丼」にしたり、群馬県民のソウルフードで、蒸かしたじゃがいもをネギや桜えびと鉄板で炒め、ソースと鰹節で味付けする「子供洋食」をみりんと醤油ベースの味付けにし、牛肉や糸こんと煮込んで肉じゃがみたいにしようともする。

 ほかにも、コヨトルは毎度毎度、焼きまんじゅうや伊勢崎もんじゃ、群馬工場生産の●ーゲンダッツアイスクリームなど、さまざまな名産品をみんなに配っていく。もう「これでもか!」というくらいに群馬の魅力や名産がぎっしり詰め込まれているのだ。読み終わったあとには、あなたも立派な「群馬ニア」になっているはず。最近は、ご当地キャラやご当地ヒーローの人気が高まっているが、それと同じように、今後はその土地の魅力を伝える村おこしラノベが増えるのかもしれない。

文=小里樹

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