「電子書籍はそもそも所有できない」 相次ぐ電子書店の閉店―専門家はこう見る

ダ・ヴィンチニュース / 2014年3月19日 11時40分

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今回話を伺った福井健策弁護士(骨董通り法律事務所)

 エルパカBOOKSや、ソニーのReader Storeの北米からの撤退(日本国内は継続)など、電子書店の閉店が続きました。紙の本と異なり、電子書籍の中には閉店後読めなくなるケースも。どういった点に気を付ければよいのか、弁護士の福井健策さん(骨董通り法律事務所)に伺いました。

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――最近、電子書店の「閉店」が相次いでいます。電子書籍ブームが落ち着く中、これからもこういった動きは続きそうですが、利用者としてはどういった点に気を付けておくべきでしょうか?

福井:電子書店の閉鎖が論争を呼んだ際、電子書籍には「所有権」がないということに注目が集まりました。確かに電子書籍に限らず、誰かが占有したり、排他的に支配したりすることに馴染まないデジタルデータには法律上、所有権という考え方が適用されないのです。「知的所有権」という言葉はありますが、似て非なる概念です。電子書籍というデータを、一定の条件のもと利用できる権利を私たちは購入していると理解した方がよいでしょう。これは電子書籍に限らず、音楽や映像なども同じですね。

ただ、所有権がないから問題だ、という捉え方では本質を見誤ります。インターネットを介したデジタルデータの「特質」にこそ注目しておく必要があります。


――「特質」とは?

福井:デジタルデータは、あたかも所有権があるように無期限に利用したり他者に「転売」できるように設定することも、また逆に簡単に消去されたり、利用できなくされるよう設定することも可能なのです。所有権がある「紙の本」が簡単に奪われたり消されたりしにくいのはその通りですが、所有権のない電子書籍だから必然的に消滅してしまう、ということではありません。あくまで電子書店と利用者の契約しだいです。言い方を変えれば、利用者は今回、そういう条件で電子書籍を買ったのだということです。


――とはいえ、例えば価格が同じこともあるのに、ある日を境に読めなくなってしまう、というのは納得のいかない利用者も多そうです。

福井:そうですね。この問題の本質は「電子書籍は所有ができない」という点にあるというより、幾らそういうサービスだとか、利用規約に記載があった、と説明されても、あるいは幾らポイント還元されても、「利用者はそのサービス内容では納得がいかない」ということなのだと思います。もともと持ってしまっていた期待と異なっていたということですね。

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