コールなし、サイリウムなし、握手会もなし! 「BABY METAL」は果たしてアイドルなのか? アカデミックに分析してみる

ダ・ヴィンチニュース / 2014年4月13日 9時20分

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『「アイドル」の読み方 混乱する「語り」を問う』(香月孝史/青弓社)

 アイドル戦国時代といわれて久しい。昨年末から今年にかけては、グループアイドルの武道館公演が相次いでいるなど、市場としてのアイドルへの需要もまだまだ熱が冷めやらない状況だ。

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 さて、今や海外へも発信されるコンテンツに成長した日本のアイドル文化。しかし、アイドルという言葉の定義はじつにあいまいで、捉えづらいものでもある。男性アイドルや女性アイドル、ソロのアイドルやグループアイドルなど、枚挙にいとまがないほど細分化されている。そんなアイドル全盛の時代に、社会学の観点から現代のアイドルを読み解くための1冊がある。香月孝史氏の『「アイドル」の読み方 混乱する「語り」を問う』(青弓社)だ。本書では、アイドルという言葉を中心に、学者や研究者、評論家などの言説をたよりに、アイドルとは何かをていねいに紐解いている。言葉の定義から、音楽やライブという名の“現場”を通したアイドルらしさなどをめぐり、社会現象としてのアイドルについてさまざまな視点からの分析を試みている。

 そこで、本書をたよりに、あるアイドルグループへの考察を改めて進めてみたい。今回取り上げるのは、ヨーロッパへと羽ばたくことが決まった「BABY METAL(以下、ベビメタ)」だ。成長期限定ユニットをうたう「さくら学院」内の“重音部”として、2010年に3人組ユニットとしてデビュー。アイドルとメタルという異なるジャンルを融合させて、アイドルファンのみならず、メタル愛好者からも幅広く注目を集めている。ではなぜ、今ベビメタを取り上げるべきなのか。それは、ベビメタの楽曲やステージなどが、他のアイドルとは一線を画すからである。一般的なアイドルのライブでは、曲中の合いの手であるコールや、ライブ会場を彩るサイリウムが鍵となる。

 しかし、ベビメタの現場では、曲中のコールもなく、サイリウムもほとんどみられない。また、ライブでのMCや握手会などのいわゆる“接触系イベント”など、メンバーそれぞれの“素顔”がみられる場面もいっさい用意されていない。

 そのためすでに、一部ファンのあいだでは「ベビメタをアイドルと呼ぶべきか」という議論も出ているので、この機会に取り上げようと考えた。それでは、本書の内容を元にした“ベビメタ論”をまとめていこう。

 本書では、アイドルへの視点を以下の3つに分類している。

1.偶像(英単語「idol」から。起源は「幻影」「幽霊」などを意味するギリシャ語に由来)。
2.魅力が実力に優る。主に、メディアにより魅力や話題性が際立って注目された存在。
3.ジャンルとして。現代ではグループアイドルが主流だが、定義は時代により流動的。

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