誤解から生まれたキャスティング 『相棒』の生みの親が語る、右京の魅力

ダ・ヴィンチニュース / 2014年5月18日 7時20分

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『ダ・ヴィンチ(6月号)』(KADOKAWA メディアファクトリー)

 およそ3年半ぶりの新作となった『相棒』劇場版が公開中だ。今回、特命係の2人が事件解決に挑む舞台となっているのは孤島。警視庁管轄下ではあるものの、東京から約300㎞の場所に位置するこの島は、元自衛官の民兵たちが日々訓練をおこなっており、妙な噂が絶えない。その中で起きた一人の青年の死。ありふれた事故死のようにも思われたが、右京と甲斐の捜査が進むにつれ、不可解な点が次々と現れる……。3代目相棒・甲斐享とのペアとしては初めてとなる『相棒 - 劇場版3-』。『ダ・ヴィンチ』6月号では『相棒』を特集、水谷豊、成宮寛貴それぞれのインタビューや、マンガ家・イラストレーターが描き下ろした「マイベスト右京」はファン必見。

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 そして映画についても、大掛かりな仕掛けや注目人物、見どころなどを徹底解説。また、シリーズを立ち上げ、杉下右京をはじめ数々のキャラクターを育て続けるメイン脚本家・輿水泰弘にインタビューを行っている。

 『相棒』の生みの親としてファンから多大なリスペクトを受ける輿水。杉下右京という唯一無二の存在は、彼の頭の中から生まれた。

「右京は名探偵のイメージです。いい人ではなく、慇懃無礼でむしろ変人。僕はなぜか、水谷豊さんのそういう芝居を観た記憶があって。だから右京がどんなに嫌みでも、豊さんなら絶対に魅力的に見せてくれるという確信があった。でもご本人とお話ししたら、“いやいや、そんな役初めてですよ”と」(輿水)

 輿水の不思議な誤解。なんと素敵な奇跡ではないか。そして『相棒』の人気の秘密は、本格推理譚からコメディまでといったストーリーの幅広さにもある。なかでも輿水は、現代社会のジレンマを深く掘り下げた、社会派的作品を多く手掛けている。

「『第一容疑者』や『心理探偵フィッツ』、イギリスのミステリードラマが好きでね、その影響。女性刑事が上司から受けたレイプ被害、そんな強烈なテーマをしっかり描いていたりするんです。もうすごいリアリティー。日本のドラマは、それに比べたらまだまだだなと。だから僕も、自分が興味を持ったテーマをどんどん描いていきたいんです」(輿水)

 『相棒 - 劇場版3-』で輿水が挑んだのは、ズバリ“国防”。今日の日本が抱える最も重大にして難解な問題だ。右京と伊原剛志演じる元自衛隊員・神室司が丁々発止のやり取りを繰り広げる。

「国防は、6年くらい前からずっと扱いたかったテーマ。映画では、神室と右京がそれぞれの国防についての考えを語るんですが、両方に信念と正しさがある。簡単に答えの出ることじゃないし、観てくださる方に何かを押し付けるものにはしたくなかった。僕のなかでも結論が出ていません。でも日本の未来のためには、考え続けて出口を見つけなくちゃいけない。それが人間の英知であり、希望なのではないかなと思います」(輿水)

 本作は、もちろん『相棒』ならではのエンターテインメント性も充分だ。普段は東京の町を歩く『相棒』ファミリーが、絶海の孤島に大集合。ジャングルを全力疾走する右京も必見だ。そして、あの紅茶シーンも……。

「豊さんは、いつも僕たちの知らなかった右京をパッと見せてくれて、本当にすごいなと思いますね。ちなみに孤島を舞台にしたのは、バラエティ番組の『よゐこの無人島0円生活』が好きだったから(笑)。映画もドラマも、『相棒』はいろんな楽しみ方ができます。あなたの好きな『相棒』を見つけていただけたらと思いますね」(輿水)

取材・文=松井美緒/ダ・ヴィンチ6月号「『相棒』大特集」

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