あなたは、りんご1個でどれだけ妄想できる? りんご1個でシュールな妄想を繰り広げる絵本がおもしろい!

ダ・ヴィンチニュース / 2014年5月31日 7時20分

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『りんごかもしれない』(ヨシタケシンスケ/ブロンズ新社)

 人は目にしたものを、経験からそれが何であるか考え、認識する。それは自分が知るものであれば気にも留めないことで、その物体が持つ裏側に思いを馳せるなんて、ファンタジーで馬鹿げていると思いがちだ。たしかにそうかもしれない。しかし、普通の人には見えていない“何か”を認識することこそ、“想像力”である。次々と新しいものが生まれては消えていくこの社会で、想像力は必須ともいえる。それに、誰もが認識していることだけを認識して生きるなんて、つまらないくはないか。自分の世界は、持ったもの勝ちだ。

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 そこで今回、第6回MOE絵本屋さん大賞で第1位に輝いた『りんごかもしれない』(ヨシタケシンスケ/ブロンズ新社)という絵本に注目したいと思う。ある日主人公の男の子が学校から帰ると、テーブルの上にりんごがあった。普通なら、「りんごがあるな」で終わってしまう。しかし、この男の子は違った。「……でも……もしかしたら、これはりんごじゃないのかもしれない」と考えた。さくらんぼの一部かもしれない、中にはメカがぎっしりつまっているかもしれない、実は何かのたまごかもしれない、仲間がいるのかもしれないなど、様々な可能性を考えた。

 この本は、このような感じで1つのりんごについてひたすら妄想する絵本である。「りんごじゃないなんて、そんなわけないだろう」と思うかもしれない。しかし当たり前にりんごだと思いスルーした人には、実はそれがりんごであることを証明する術はない。それなら、せっかくなら想像したもん勝ちではないだろうか? 考えるのは自由であり、タダだ。それで世界が面白くなるのなら、やらない手はない。うまくいけば、そこから何かが生まれるかもしれない。

 毎日が単調でつまらない、何か面白いことはないか、そんなことを考えている人にぜひとも本書を読んでほしい。「もしかしたら○○かもしれない」という、世界の秘密を探るような切り口がシュールで、視野が広がる。目の前にあるものが実は自分の認識している世界と違うかもしれないなんて、楽しすぎる! 想像力が豊かになりそうだ。ネット上でも、「発想がすごい」「親子で楽しめる本」「誰か妄想を止めて」と、話題になっている。もしかしたら、この本を描いた人はりんごなのかもしれない。この本も、りんごなのかもしれない。今目にしているものは、実は思っているものとは違うのかもしれない。

文=月乃雫

ダ・ヴィンチニュース

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