話題の“猫島”は、本当に猫の楽園か?

ダ・ヴィンチニュース / 2014年6月3日 7時20分

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『猫島 14人の住民と200匹の猫の島 愛媛・青島』(フールズメイト)

 今、猫好きにはたまらない、夢のような島として話題になっている場所がある。それが、愛媛県の青島だ。島民の数より猫の数が多い“猫の楽園”として有名で、昨年の秋ごろ、ネットの写真から話題に火がつき、NHKをはじめとするさまざまな番組でも取り上げられた。猫島がどんなところか、『猫島 14人の住民と200匹の猫の島 愛媛・青島』(フールズメイト)から、紹介してみよう。

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 住民は、たったの14人。それに対し、200匹の猫が暮らす青島。港に着くと、白、黒、茶トラ、キジトラ、ミケ……とさまざまな猫たちが出迎える。道を歩けばあちこちに猫の姿が見られるし、ブロック塀の上には何匹もの猫がくつろいでいるというのも当たり前の光景になっているようだ。エサに群がる様子は、まるで絨毯のようにも見えるし、ぞろぞろと列をなしながらついてきたり、リラックスしたように寝そべる姿を見ると、猫の国に入り込んだ気分を味わうこともできるのではないか。

 しかし、青島が本当に猫にとっても、島民や観光客にとっても幸せな楽園かというと、そうとも言いきれないことを同書は指摘する。そもそも、この島は観光地ではなく、島民の生活圏なので、宿泊施設もないし、売店すらないそう。それなのに、1日2往復の定期旅客船「あおしま」に乗りきれない客や、帰りの便に積み残される人が出るほど、多くの観光客が押し寄せているというのだ。しかも、観光客の大量の餌やりにより、猫が体調を崩してあちこちでもどしたり、ふんをしてしまうことも増えたようで、臭いと衛生面の問題も出てきている。島民は「場所を決めたので、餌やりはそこでしてほしい」といった内容の張り紙をしているが、「わざわざ遠方から来てくれるお客さんに、あれこれ言うのもね」と我慢してくれている部分もあるようだ。こんな現状では、島民にとっては、観光客はただの侵入者でしかなくなってしまう。

 また、猫たちも餌をもらうときは人なつっこく寄ってくるが、やはり野良猫なので、いざ触ろうとすると警戒の視線や態勢を見せるものも多いらしい。それに、このまま増え続ける場合はどこかのタイミングで避妊や去勢も必要になってくるだろうし、病気やケガをしたときのためにも治療施術施設の設置は必要になってくる。猫の体調のためにも、観光客には餌をあげすぎないように注意すべきだが、逆に観光客がいない日でも、安定して一定の餌を与えられるように確保しておくことも大切だろう。

 観光客にマナーを守ってもらうためのルールや、島民に負担をかけないためにも悪臭やふんの処理をするシステム、設備などがきちんと整えられる必要もある。まだまだ課題は多いようだが、ひとりひとりがマナーを守り、自分にできることをしていけば、青島が島民にとっても、観光客にとっても、猫にとっても幸せな本当の“猫の楽園”になる日が来るかもしれない。

文=小里樹

※この本の収益の一部は地方自治体を通じて青島の猫たちの環境整備のために使用されます

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