“脱アイドル化”したアイドル 嵐の魅力をフランス精神分析家の言説から分析してみた

ダ・ヴィンチニュース / 2014年7月12日 5時50分

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『隣の嵐くん カリスマなき時代の偶像(アイドル)』(関修/サイゾー)

デビュー15年周年を記念した9月のハワイ公演に続き、11月~12月には5大ドームツアーを行うことを発表した人気アイドルグループ「嵐」。ドームツアーでは過去最多の84万5,000人の動員が見込まれており、まだまだ嵐人気は冷めやらないようだ。

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 とはいえ、なぜここまで嵐が国民的アイドルとして人気を誇っているのだろうか。フランス現代思想を用いて嵐人気を分析した、『隣の嵐くん カリスマなき時代の偶像(アイドル)』(関修/サイゾー)から、嵐人気を探ってみよう。

 著者の関氏は、まずメンバーひとりひとりの魅力を、フランスの精神分析家、ジャック・ラカンが提唱した「四つのディスクールと資本のディスクール」を用いて説明している。例えば、ニュース番組のキャスターを務め、楽曲ではラップを担当している櫻井翔の役割は、「“大学のディスクール”に該当する、知が動因となる語り」と分析。同じ「語り」を担う人ながらも、櫻井と正反対の「精神分析のディスクール」に相当するというのが相葉雅紀。相葉といえば、突拍子のない発言や言い間違いなど“天然”な言動で愛されるキャラ。実はフロイトの精神分析によると、失言や言い間違いは「無意識的な“有意味性”がある」とされている。つまり、相葉の失言に思わず笑ってしまうのは、「誰もが心の中にそのような側面を持ち合わせている」から。無意識のレベルで人々の共感を得ることができる相葉は、既存のアイドルよりもファンに近い存在で、「“脱アイドル化”したアイドルという“嵐”のあり方を象徴している」のだ。

 相葉や櫻井の「語り」とは対照的に、「演技」の役割が強いのが松本潤と二宮和也。松本はドラマの主演を張り、「一般ピーブルとは異なったスター性」を持っていることから、「主(人)のディスクール」のポジション。二宮の場合は、同じ「演技」の役割ながらも、「ヒステリーのディスクールに相当する」のだとか。ファンの間では周知の事実だが、彼は常にゲーム機を持ち歩く「オタクまたはゲーマー」。しかしオタクな人は日常生活では自己主張しないが、コスプレやアニメへの傾倒といったように、バランスを取るために自己表現を必ずどこかでしている、と関氏は分析。二宮の場合、自己表現の矛先にあったのが「演技」で、これが「ヒステリーのディスクール」なんだとか。

 嵐のリーダー・大野智の魅力を引き出すのは「みかけ」という概念だ。バラエティ番組ではのんびりしたイメージの大野だが、メインヴォーカルとして嵐を引っ張り、ダンスもジャニーズトップレベルの上手さを持つオールラウンドプレーヤー。それを表出させず、しかしながらリーダーとしてグループの重石のような存在になっているおり、「みかけ」と実際のズレが大野の不思議な魅力を作り上げているという。

 この「演技」と「語り」に分けられ、「見かけ」のリーダーが配置されるという絶妙なバランスこそが嵐のブレイクの要因「ヴァーチャルな最良の隣人」像を下支えしているという。ファン以外には、「なんでそんなに人気があるのか、わからない」「そこら辺にいる男の子と同じに見える」と言われることが多い嵐だが、実はそれこそが嵐の魅力。バラエティ番組での何気ない発言や表情に注目してみると、それがより実感できるだろう。

ダ・ヴィンチニュース

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