見た目がどんなに若くても、卵子の年齢は常に“自分の年齢+1歳” 正しい知識があれば、防げる不妊もあるはず

ダ・ヴィンチニュース / 2014年7月13日 5時50分

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『誰も教えてくれなかった卵子の話』(杉本公平、鴨下桂子/集英社)

 『誰も教えてくれなかった卵子の話』(杉本公平、鴨下桂子/集英社)は、著者である2人の不妊治療専門医が、人々が持っている妊娠、出産にまつわる知識と現実にギャップがあることに危機感を感じて書いたという。

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 慈恵会医科大学が不妊治療患者417人を対象に、2012年に行った調査によると、「45歳以上でも妊娠できる」と思っていた人が77%。同じ質問を不妊治療経験のない女性167人に行った場合にも、約8割が「45歳以上でも妊娠可能」と答えたという結果が、本書の中で示されている。しかし、実際には45歳での妊娠の確率は0.8%と極めて低い。日本は、先進国の中でも妊孕性(にんようせい=妊娠できる力)に対する知識が極めて低いという調査結果もあるそうだ。

 この本の中では、まずPART1で卵子の一生について説明されており、最近よく耳にする「卵子の老化」について、それがどういう状態なのか、なぜ老化するのかがここを読むだけでもわかる。そもそも卵子は、生まれる前の胎児の時に作られ、ピーク時は妊娠20週の頃。その時500万~700万個あったものが、出生時には200万個にまで減少しているのだそう。生まれた後には新しく作られることはない。つまり、卵子は常に自分の年齢+1歳の細胞なのだ。そして月経が始まると毎月排卵されるが、排卵される以外にも、月に数百個が自然に消滅していくという。さらに、年齢を重ねるにしたがって、卵子の質も年々低下していく。数の減少と質の低下が「卵子の老化」なのだ。

 さらに、PART2の「卵子についてのQ&A」では、卵子にまつわる女性たちの素朴な疑問に答えている。「卵子の老化とはどんな状態のことを言うのでしょうか?」という問いに対し、卵子の質は、卵子の細胞の中にある器官が、酸化作用の蓄積などによりダメージを受けることなどにより低下すると、加齢による質の低下を説明している。

 最近は、見た目の老化はメイクやスキンケアによりある程度は食い止めることができるかもしれないが、当然のことながら卵子の老化と外見上の老化は関係ないとのこと。どんなに見た目が若く美しい人でも卵子は年々老化しているのだ。ちなみに、現在はまだ、卵子の老化を防ぐ、または若返らせる方法は研究段階なのだそう。

 このほかにも、「今の自分の卵子の状態を簡単に知ることはできるのですか?」とか「自分が妊娠できるカラダなのかどうか、病院で検査すればわかりますか?」など、20代~30代の女性が気になっている多くの疑問に答えてくれている。

 この本の著者のひとりである鴨下桂子医師は、現在、学生を対象とした不妊予防のための性教育を行っているそうだ。鴨下医師は、不妊治療に携わる中で、年齢とともに卵子の数が減り老化することや、40代での妊娠率の低さを、不妊治療をして初めて知る人が多いことに気づき、正しい知識があれば防げる不妊もあったのではないかと考えるようになったという。「正しい知識を知らないで“産めない”のと、知った上で“産まない”のは、全く異なることなのです」と語っている。

 女性の生き方が多様になった今、産むか産まないか、いつ産むか、仕事はどうするのかと、私たちは難しい選択を迫られている。前書きで鴨下医師も「後悔することのないよう、本書が自分の人生をどうしたいのか、考えるきっかけになれば」と語っているように、正しい知識を身につけた上で、人生と向き合って行かなければならないことに、改めて気づかされる。

文=相馬由子

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