追悼、土田世紀 圧倒的ボリューム! 原画展開催

ダ・ヴィンチニュース / 2014年8月10日 5時50分

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『SEIKI -土田世紀 43年、18'000枚の生涯』(世紀のプロジェクト/小学館)

 『俺節』、『編集王』、『同じ月を見ている』…土田世紀の描く人間は、いつも泥臭いまでに熱くて不器用。それゆえひどく純粋だ。そんな人間の姿に心打たれた読者は多いが、その才能を惜しまれつつ、2012年に43歳で早逝。今年は氏の三回忌だ。京都国際マンガミュージアムでは、土田作品の魅力を再発見する場として、1万9000枚以上の原画を公開する展示を開催している。一枚一枚にこめられた迫力の筆致、そしてなんといってもそのボリューム! 展示方法も画期的で、床に原画を敷くという前代未聞の形(もちろん床には特殊な加工済)も試みている。その空間には誰もが圧倒されるはずだ。 

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 また、本展に合わせて刊行された追悼本も豪華だ。土田の代表作の第一話を収録しているが、話ごとに紙を変え、生原画を風合いそのままに再現しているので、展覧会に行けない人も迫力の一端を感じることができる。そのほか、幻の投稿作や研究者のコラム、松本大洋や上條淳士らのトリビュート作品など、見どころが満載である。しかし、何より見てほしいのは、妻との旅の写真など、随所にちりばめられる土田の知られざる素顔だ。二人の関係については、新井英樹が「コロンとバロン」というマンガでトリビュート寄稿し、本書の最後には、夫人にあてた土田の遺書とも言える手紙、夫人によるあとがきも掲載されている。土田世紀の作品の根幹となる柔らかな部分が垣間見られ、涙なしには読めない。

文=倉持佳代子/ダ・ヴィンチ9月号「出版ニュースクリップ」

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