転職の鍵は「弱い絆」? 東浩紀が提唱する新しい自分を見つける方法

ダ・ヴィンチニュース / 2014年8月18日 12時0分

写真

『弱いつながり 検索ワードを探す旅』(東浩紀/幻冬舎)

 手相にも姓名判断にも予想されないような自分でいたい。私は私だけのオリジナルの私であって、誰であろうと、自分の思考やこれからの人生をピタリと当てることなどできないはずだ。そう考えるのはきっと私だけではないだろう。誰だって、自らは誰にも予想できない自分だと思っていたいに違いない。しかし、本当にそう上手く「かけがえのない自分」を見出すことなどできるだろうか。

【画像あり】誌面をチェック

 東浩紀氏著『弱いつながり 検索ワードを探す旅』(幻冬舎)は、私たちが「Googleが予測する検索キーワード」から逃れるための方法を提案した人生論だ。統制されたネット時代に「かけがえのない生き方」を手にするにはどうしたら良いのか。東氏が提案する方法は示唆的だ。

 東氏によれば、私たち人間は環境によって規定されているという。私たちが考えること、思いつくこと、欲望することは、たいてい環境から予測可能なことでしかない。環境から統計学的に予測されるだけの人生などうんざりだと思いながらも、そのしがらみから逃れるのはとても難しいことだ。

 アメリカの社会学者マーク・グラノヴェッターが1970年代に提唱した「弱い絆(ウィークタイ)」には、このしがらみから逃れるヒントがある。グラノヴェッターは当時、ボストン郊外に住む300人弱のホワイトカラーを対象として調査した結果、判明したのは多くの人が人と人とのつながりを用いて職を見つけているということだという。しかも高い満足度を得ているのは、「たまたまパーティで知り合った」人などの「弱い絆」によって紹介されたもの。深い知り合いとの関係よりも浅い知り合いとの関係の方が成功のチャンスに繋がっていたらしい。現職や性格、能力を知っている友人や同僚は、予測可能な転職先しか紹介してくれない。それに対して、何もしらない人々のつながりは意外な適性を発見出来る可能性もある。東氏はこの実験を引き合いに出し、人生を充実させるためには、「弱い絆」が必要なのだと主張している。この「弱い絆」を生み出すためには積極的に新しい環境に身を置くことが必要となる。特に東氏は旅に出て今まで知らなかった世界に触れることをすすめている。

 旅に出ると言っても、自分を探す旅に出るのではない。自分を探すのであれば、両親や友人を見れば良い。新しい考え方を追い求めて、私たちは旅に出るのだ。

 自分の人生を充実したものにするために、せっかくの休みの日寝ているだけではつまらない。さぁ、環境を変えるために旅に出よう。この本は、私たちの人生に喝をいれる実用書だ。

文=アサトー ミナミ

ダ・ヴィンチニュース

トピックスRSS

ランキング