歌舞伎町が騒ぐ・揺れる! 誉田哲也が描く歌舞伎町アンダーグラウンドエンターテインメント第2弾

ダ・ヴィンチニュース / 2014年10月6日 5時50分

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『歌舞伎町ダムド』(誉田哲也/中央公論新社)

 新宿・歌舞伎町は、おそらく日本で最も有名な繁華街である。深夜・早朝を問わずに眠る事を知らず、どんな時間帯でも異様な熱を帯びた不思議な街。美味い酒も飲めるし、マニアックな芝居や音楽も楽しめ、もちろん極上の女も抱ける。欲すれば妖しげなソフトウェアやちょっと危ないクスリ、銃刀の類ですら手に入る無法地帯でもあり、来る者は絶対に拒まず、去る者は決して追わない。ススキノや中洲、栄など、似たような雰囲気の盛場は国内にも多々あるが、どこも決して歌舞伎町の醸し出す妖しい魅力には敵わない。

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 「歌舞伎町ダムド」は、その歌舞伎町を舞台に繰り広げられるアンダーグラウンドエンターテインメント。その世界を魅力たっぷりに描くのは、『ストロベリーナイト』など姫川玲子シリーズでお馴染みのハードコアミステリーの第一人者、誉田哲也。作品的にはドラマにもなった『ジウ』や『国境事変』がルーツ。これを受けた前作の『歌舞伎町セブン』から続く、新シリーズの第2弾に該当する。

 7人編成の殺人プロフェッショナル集団「歌舞伎町セブン」は、そこが歌舞伎町であるが故に警察や法律では解決できない問題を根本的に処理してしまうチーム。ただし、その目的はあくまで歌舞伎町のバランスを維持するためであり、私利私欲では決して動かない。ある種、都市伝説のような存在でもある。そんなセブンに、とある組織から最悪の刺客、「ダムド」が送り込まれる…、という展開。

 陳腐さを覚悟して言うのなら、現代版の「必殺仕事人」。ただ、それを歌舞伎町という枠の中だけに納め、歌舞伎町の暗黙のルールの中で転がす、という発想がそもそも凄い。ゴールデン街・区役所通り・しょんべん横丁などのキーワードで「ここは歌舞伎町だ!」と意識させられる度に、全ての場面に尋常でない緊張感が迸る。この圧倒的なリアリティこそ、誉田哲也最大の持ち味。章を読み終える毎にドッと疲れるのだが、読書の中断はかなり困難。ちょっと厄介な作品でもある。

 注意しておくが、今回も殺害シーンは若干退いてしまうほどリアルで残酷。いや、下手をすれば“グロ”と括られてもおかしくないハードさであり、食事中の読書は絶対にオススメしない。しかし、誉田哲也ファンには確実に必要な場面であることもまた事実。不思議なリズムを刻むような猟奇殺人シーン、注目して欲しい。

 そして、前作では顔見せ程度の登場だった「ジウ」の東警部補が今回は重要な役どころで再登場。同じく「ジウ」のキャラクターが数名、かなり意外な形で登場してくるので、ファンの方はそのあたりもぜひチェックすべし。

 誉田哲也ファンはもちろん、歌舞伎町という街にシンパシーを感じる人は必読。さらに前作『歌舞伎町セブン』をまだ読んでない人は、この続編とセットで読むことをオススメしておく。疾走感溢れるアンダーグラウンドエンターテインメントを堪能せよ!

文=サイトウタクミ

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