「ドラえもんをボクにあずけてください」シンエイ動画の元会長の話が泣ける

ダ・ヴィンチニュース / 2014年11月2日 5時50分

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『「ドラえもん」への感謝状』(楠部三吉郎/小学館)

 まんが『ドラえもん』が1969年に誕生して45年、アニメ版が1979年に放映開始されてから35年たった今年、北米版『Doraemon』が放送開始となった。
 瞬く間にアメリカの子どもたちの心をつかんだ『Doraemon』は、「ドラ焼きアメリカで流行っちゃうかも」(TBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』)というほどに超絶ヒットしているという。

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 パーマネントキャラクターとして、世界中に広がり続ける『ドラえもん』だが、現在放送中のアニメ版は「2度めのアニメ化作品」だと知っているだろうか?(有名かな?)

 最初のアニメ版は、1973年に日本テレビ系で放送され、視聴率不信のために半年で打ち切られてしまった。『パーマン』や『オバケのQ太郎』など、多くのアニメ版がヒットする中での打切りは、原作者の藤子・F・不二雄こと、藤本弘先生を悲しませた。

 その『ドラえもん』を再びアニメ化しようとしたのが、シンエイ動画を設立した男・楠部三吉郎氏だ。楠部氏の著書『「ドラえもん」への感謝状』(小学館)に綴られたアニメ版『ドラえもん』の復活劇。作品を生み出す者の情熱と、原作を預かる者の覚悟、両者の信頼関係…そこには、見習うべき仕事人たちの心意気、姿勢が浮かび上がる。

「『ドラえもん』をボクに預けてください!」

 1977年秋、アニメ会社から独立しシンエイ動画を創設したばかりの楠部氏は、藤本先生に「ドラえもん再アニメ化」を打診した。一度、打切りになった作品だけに、藤本先生は即答しなかった。長い沈黙の後、藤本先生は楠部氏に「宿題」を出した。ドラえもんをどう見せるつもりなのか? 原稿用紙数枚でいいから、気持ちを書いてください、と。

 楠部氏はすぐさま文具店に走り、喫茶店で鉛筆を握ったが、元々は営業マンであり、アニメに縁もなかった楠部氏は、その思いをうまくまとめられない。藤本先生に数日の時間をもらった楠部氏は、『ドラえもん』(当時は13巻)を買い揃えて、前の所属会社の先輩・高畑勲氏の自宅におしかけた。後輩の急襲に面食らいながらも、全巻を読み終えた高畑氏は言った。

「こんなすごい作品が日本にあったの?」

 藤子作品の魅力を再認識した高畑氏に、楠部氏は再アニメ化のためのレポートを依頼した。果たして数日後、高畑氏から届いたのは、『ドラえもん』の本質を捉えた素晴らしい企画書だった。

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