徹底した現場取材、8人の証言…小さなウソが招いた悲劇「JR北海道」退廃に迫る

ダ・ヴィンチニュース / 2014年11月4日 12時20分

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『なぜ2人のトップは自死を選んだのか JR北海道、腐食の系譜』(吉野次郎/日経BP社)

 つい先日、普通列車の制限速度13キロ超過での走行を公表していなかったことが明るみに出たJR北海道。すでにトラブルの連鎖が印象強いJR北海道。今年度はじめ、2人目となるトップの死がセンセーショナルに報道されたことで、それが決定的となった。記憶に残っている人も少なくないだろう。

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 本書は、2014年1月13日から3月10日号の9週にわたって『日経ビジネス』に連載されたシリーズ検証「JR北海道、腐食の系譜」をベースに、大幅に加筆された『JR北海道、腐食の系譜 なぜ2人のトップは自死を選んだのか』の電子版だ。

 不謹慎ながら、「事実は小説より奇なり」という言葉があります。2011年9月12日、特急列車の脱線炎上事故、運転士の逮捕。データ改竄。それに続く経営者の失踪と死。その3年後に、重なる相談役の死。ミステリー小説では、ここまで書くとリアリティが失われるところですが、本書は徹底した現場取材でまとめた事件と事実の記録。赤字、無理な合理化から組織が徐々にほころびる様子が、冷静な目と文体で綴られている。

 自死したと見られるトップ2人、そして労組委員長など8人のなまの証言も大胆に掲載。質問に対して答えをはぐらかす動揺までもが読み取れる。コンプライアンスや安全意識の重要性が年々高まる中で、経営・労使・組織運営・責任などの問題を読者に投げかける本書の意義は大きい。退廃の真相に迫り、切り込む勢いに息を呑む。日経ビジネスに慣れ親しんだ人はもちろん、今のタイミングだからこそ組織経営を考えたい人は、ぜひ一読いただきたい。

文=ルートつつみ

ダ・ヴィンチニュース

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