アイドルを知れば、日本経済や国民意識が分かる?

ダ・ヴィンチニュース / 2014年11月25日 12時20分

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『アイドル国富論  聖子・明菜の時代からAKB・ももクロ時代までを解く』(境 真良/東洋経済新報社)

 時はアイドル戦国時代。AKBグループに、ももいろクローバーZ、モーニング娘。’14、9nine、でんぱ組inc、ベイビーレイズ、BABYMETAL、東京女子流など、挙げればきりがないほど、今の日本には、アイドルグループが乱立している。アイドルは日本を映す鏡。時代の流れとともにありとあらゆるアイドルが生まれてきたといっても過言ではないだろう。だが、アイドルを愛する者のうちの何人が、日本経済の動向とアイドルブームの驚きの関係に気が付いていただろうか。

【画像あり】『アイドル国富論』中面をチェック

 国際大学GLOCOM客員研究員であり、経済産業省国際戦略情報分析官である境真良氏は、著書『アイドル国富論』の中で、アイドルと日本経済の相関関係に触れながら、その歴史を概観している。境氏によれば、1980年代にしろ、現代にしろ、アイドルは、経済が行き詰まった時代にブームとなっているという。もしかしたら、アイドルを知れば、日本経済も分かってしまうのかもしれない! 境氏の説に誰もが最初は半信半疑だろうが、読めば、読む程、その説には納得させられてしまう。

 境氏はアイドルの定義を(1)18歳までにデビューし、(2)歌手であり、(3)テレビドラマやバラエティ番組など歌唱以外の分野で活躍しながらも、(4)総じて目の覚めるような美貌や歌唱力、演技力には恵まれていないもの、と定義している。ファン達は、彼女たちを「支配したい」という欲求で見つめる。日本には、『源氏物語』に出てくる「雀の子を犬君が逃がしつる」と泣きわめく幼女・若紫を光源氏が愛でたように、未熟なものに価値を見出す文化があったという説を引きながら、日本人がアイドルに魅了される理由を解き明かしているのは、面白い。たとえ、アイドル好きでなくとも、時代を見通すために必読の書といえそうだ。

 「アイドルブーム」の裏に、境氏は、日本の市民意識の変化を見ている。困難に挑戦し、源流に忠実たろうという姿勢を「マッチョ」、反対に戦いから逃走しようとする姿勢を「ヘタレ」と定義し、彼は、「アイドルブーム」の栄枯盛衰を、「マッチョ」派と「ヘタレ」派のパワーバランスに見ている。たとえば、現代のアイドルは、「ヘタレ」と「マッチョ」の両方の性質を併せ持つ「ヘタレマッチョ」。AKB48の総選挙で指原莉乃がのし上がっていったのが代表例といえるように、気質はヘタレであるのにも関わらず、努力で上を目指そうとするマッチョな姿勢をみせる。だからこそ、ヘタレ、マッチョという区分を繋ぐ存在としての役割を果たし、世の中にブームを巻き起こしているのだろう。

 アイドルが分かれば、時代の流れが分かる。アイドル好きもアイドルに興味を持てない者も、今の世の中の流れは知っておくべきだろう。ビジネスマンこそ読むべき1冊。

文=アサトーミナミ

ダ・ヴィンチニュース

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